タイマーで紙テープを引く
対象等
中学生から高校生まで
目的
自分の歩く速さがどのくらいなのか、紙テープにタイマーで打点を打ち調べる
準備
紙テープ、カーボン紙(打点用)、タイマー、方眼紙等
実験条件
実験室で長めの机が必要
方法
教科書に書いてあるので、誰もが一度は試みるのではないでしょうか。テープを腰のあたりに持ち、手を振らずに等速で歩くというものです。
速さが速ければ打点間隔が長くなり、遅くなれば短くなるので、速さの概念が一目瞭然に分かるというメリットがあります。
しかしながら打点を元に速さの計算をさせたり、グラフを作らせるとなると、これはかなり難しい作業になります。
私自身は困難校に勤務していた期間が長いので、計算がほとんど出来ない生徒が近年激増しているということを痛感しています。
そのような視点でこの実験を見ると数々の困難にぶつかります。
1 交流の50ヘルツという語句の説明が難しいです。交流という言葉の意味の説明が大変で、なおかつ50ヘルツとなると、「いったいそれは何?」というのが生徒の実感だと思います。
勢い「この機械は1秒間に50回点を打つ機械なのだ」と頭から教えることになりますが、機械嫌いの生徒はこの辺でもうあまり聞く耳を持たなくなっています。
2 続いて「5打点打つ時間が0.1秒だから」、と教員は説明しますが、生徒は「なんで5打点が0.1秒になるんだろうか」なんて考えているうちに説明がどんどん進んでしまい、ちっとも理解していません。
丁寧な先生は「1÷50=0.02秒だから、それを5倍してやると0.1秒になるだろう」と説明しますが、割り算や小数点が出てくるとギブアップの生徒が続出します。
3 ようやくの思いで、5打点ごとに長さを測るという意味を説明し、次にその長さを測りますが、実は高校にも定規の使い方が分からない生徒がいます。
1cmの刻みは分かっても、mmの読み方が分かっていません。また5.8cmというように、長さに小数点が付くと分からなくなってしまう生徒もいます。
4 続いてこれを切り離したりしてグラフを作っていきます。この作業自体は「順番にやっていくんだよ」と言うことが分かっていればそれほど難しくありません。
しかし出来上がったグラフがどのような意味を持つのか、と言うことでまた困難が生じます。
それやこれやで、最近はこの実験をまったくやらなくなってしまいました。生徒が混乱する過程が一つか二つなら何とか説明して実験を行いますが、三つ以上になると実験のやり方の説明ばかりするようになり、肝心の結果の分析、考察の時間がなくなってしまいます。
注意点
・ 速さが一定になるように意識させる
・ テープを持つ一を動かさないように
・ 計算方法を丁寧に説明する
結果
なかなか等速直線運動にはなりませんが、きちんと実験の意味が分かる生徒なら興味を持てると思います。結果から速さや加速度を求めることも出来ますが、さらに計算が煩雑になります。
考察応用等
・ 等速直線運動の意味をグラフから考えさせることが出来ます
・ グラフの傾きが速さになることが分かると素晴らしい
・ 面積が移動距離に相当することまで理解できれば完璧ですね
備考
打点がきれいに出るようにカーボン紙等の調製が結構面倒です