対象等
中学、高校
目的
・ 発芽したタマネギまたはネギの根端を使って、体細胞分裂の過程を観察する
準備
顕微鏡、スライドガラス、カバーガラス、ピンセット、スポイト、水、ろ紙、カミソリ、染色液(酢酸カーミン)
使用材料
タマネギまたはネギの根
実験場所
生物実験室
方法
事前準備(実習助手さんにお願いして準備)
@ 発芽させたタマネギの根の先端を2cmほどの長さに切り、これを固定液(細胞分裂の進行が止まる)に浸す。(ネギの発芽の場合は全体を固定液に)
A 固定した根端を60℃の3%希塩酸に入れ、全体を柔らかくする。これが実験材料となる。
手順
@ 渡された根端をスライドガラスの上にのせ、先端部の1〜3mmをカミソリで切り取り、他は捨てる。
A 染色液を1〜2滴加え、5分ほど待つ。
B 静かにカバーガラスをかけ、その上にろ紙を置き、親指の腹で上から静かに押しつぶすか、軽く叩く。
C 100倍程度の低倍率で観察し、分裂像が多く見られる部分をさがして、その部分を高倍率で観察する。
D 分裂の過程が分かるような細胞をいくつか選んで、スケッチする。
実験場の注意点
・ この実験は事前準備が大変です。私の場合はベテランの実習助手の先生にいつも試料を用意してもらっていました
・ スライドガラスに根をのせるとき、分裂細胞の多い先端がどちらに向いていたかを覚えておく必要があります。染色液を加えてつぶした後では、どちらが先端か分からなくなるからです
・ つぶし方が難しいです。親指の腹で押す、というのが一般的なようですが、カバーガラス全体を鉛筆等でトントンたたくという方法もあるようです
・ つぶし方が不十分だと、細胞が重なってしまい、分裂している細胞を見つけるのが大変です
・ 100倍程度では、核のつぶつぶが小さく見えるだけなので、分裂過程にある細胞を探すのには根気がいります
・ うまく見つけても、400倍にすると視野からはずれてしまうことが多いです
・ これまでにやった感触ではタマネギよりも発芽したネギの根の先端の方が見やすいように思います
・ どうしても見つからない生徒のために、プレパラート標本も準備しています
結果
・ 分裂中の細胞を見つけることができるかどうかが、実験の成否の分かれ目です
・ あらかじめ生徒にどんな状態のものを見つければよいのかという事を、黒板等に書いて説明しておく必要があります
考察、応用
・ 特にありません
生徒さんへ
・ 根の先端付近で細胞分裂が行われていますので、つぶす前に根の先端の場所を覚えておいてください
・ つぶし方は難しいです。カバーガラスが割れてしまうほど強く押す必要はありません
・ 上から垂直に押します。斜めに力を加えると、カバーガラスが横にずれてうまくつぶれません
・ 核の中に、ひものような染色体が見えるものを探します
・ 酢酸カーミンを手や衣服につけないように注意してください
・ 分裂している細胞を見つけたら、その細胞を視野の中央に移動してから、高倍率で観察します