対象等
高校
目的
・ 植物の色素を抽出し、ペーパークロマトグラフィーにより分離してその種類を調べる
準備
乳棒、乳鉢、試験管 2本、試験管立て、大型試験管 1本、スポイト、ゴム栓、毛細管、ろ紙、メタノール 2(ml)、エチルエーテル 2(ml)、10% 塩化ナトリウム溶液、展開液(石油エーテル:アセトン=6:4)1(ml)
使用材料
緑葉(ホーレンソー等)
実験場所
生物実験室
方法
@ 緑葉を細かくちぎり乳鉢に入れ、メタノール2(ml)を加え、よ〜くすりつぶした後、これにエチルエーテル2(ml)と塩化ナトリウム溶液を数滴加え、よく混ぜてから試験管立てに立てる。
A 溶液が2層に分離したら、スポイトで下層の溶液を取って捨てる。分離しなかったら、さらに塩化ナトリウム溶液を数滴加える。
B 残った溶液に、さらに塩化ナトリウム 13(ml)を加えよく混ぜ、再び試験管立てに立てる。
C 2層に分離した溶液の、今度は上層部分を、下層を混入させないように吸い取り、別の試験管に入れる。
D Cの試験管を手のひらで温めながら、アスピレーターで1分程吸引する。吸引後試験管壁に色素が付着していたら、少量のエチルエーテルで洗い落とす。
E ろ紙の片側数cmの部分に鉛筆で栓を引く。次にDの試験管の上層部の色素液に毛細管の先端を浸し、これを先ほどのろ紙に書いた線上にくっつける。
(スポットを打つ、といいます)念のためもう一度色素液に毛細管を浸し、同じ場所に重ねてスポットを打つ。
F 大型試験管に展開液を入れ、コルク栓にGのろ紙をはさみ、下端を展開液に展開液が浸るように設置し、そのまましばらく放置する。
G 展開液の先端が10〜15(cm)上昇したら、大型試験管からろ紙を取り出し、展開液の上限及び各色素の輪郭を鉛筆で書き、原点から展開液の上限までの距離と各色素の中心部までの距離を測定し、以下の式でRf値を求め、結果に記入する。
Rf値=各色素の上昇距離/展開液の上昇距離
実験場の注意点
・ ホーレンソーはなるべく自然に栽培されたものを使わないと、葉緑素の抽出がうまくいきません(化成肥料で人工的に大きくしたものは色素が少ないように感じます)
・ 有機溶媒は取扱注意です
・ スポイトで溶液を吸い取るときは、先端を中に入れてから空気を押し出すのではなく、あらかじめ少しスポイト内の空気を押し出してから吸い取らせるとうまくいくと思います
・ 毛細管は、ガラス管を熱して引っ張り、あらかじめ作っておく必要があります
・ 毛細管は取扱注意です。ちょっとしたことで皮膚に刺さると、そのまま体内に残ってしまう可能性があります
・ 困難校では、定規の見方が分からない生徒がいます。場合によっては色素が分離するという部分でRf値はもとめないこともあります
結果
・ Rf値はともかく、色素が分離する様子はよく分かります
考察、応用
特にありません
生徒さんへ
・ 各種の有機溶媒を吸い込まないように注意してください
・ スポイトの扱いは、指示をよく守らないと溶液が混じり合ってしまいます
・ 毛細管は取り扱いに十分注意してください
・ 色素がなぜ分離するのかを考えると、面白いレポートになるかもしれませんが、難しそうです
・ 何種類の色素に分かれるのかは大事な部分です