ボランテイア活動(3)

介助

 介助で一番困るのはトイレです。

 今でこそ身障者用のトイレがあちらこちらに作られていますが、当時はごく普通のトイレしかありませんでした。

 当然ながら我々は、どこへ行くときもトイレのことが頭から離れませんでした。彼自身もそれを意識しており、出かける日は朝からほとんど水分を摂らないようでした。

 それでも行きたくなるときはあります。そんなとき我々は必死に洋式のトイレを捜し、彼を抱え上げ、座らせます。狭いトイレの個室で、彼を座らせたり持ち上げたりするのは大変な努力が必要でした。


ボランテイア活動の本質

 社会または誰かの役に立ちたい、という事は誰もが考えることです。だからこそ私は教職を選びました。

 しかし全くの無償で、となると途端に事は難しくなります。何かをやったとき、人はどうしてもその評価や意義を求めます

 私は上記の活動を行っているとき、常に自分は誰かに認めてもらいたがっているのではないだろうか、という気持ちが消えませんでした。

 さらに私はこの活動を通して、自分が他人より親切だとか優れている、という自己満足に浸ろうとしているのではないか、という疑念を常に感じていました。

 現在私が勤務している学校でも、ボランテイア活動として老人施設に出入りしている生徒が何人もいます。素晴らしいことです。

 願わくは、それらの活動が対価を期待することなく一生続けられる社会環境が整って欲しいものだと思っています。

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