悪性リンパ腫の患者数推移


 前ページのA20遺伝子に関わる内容は、一応結論めいたものまでたどり着きましたが、正直なところ、じゃあA20という遺伝子はどんな遺伝子で、それがどのように作用するのか、と言うことを調べ始めると、もう全然分かりません。

 逆に言うと、ここまで遺伝子のはたらきが解明されていながら、なおかつ悪性リンパ腫の原因かもしれない、という程度の結論しか導き出せないのが不思議かつ残念です。

 とうわけでこれ以上は手に余りそうなので、再び違う角度から原因を探ってみたいと思ったのですが、その前に日本全体で悪性リンパ腫の患者数の推移はどうなっているんだろうか?と言うことに興味を感じ調べてみました。

 参考にしたのは「独立行政法人 国立がん研究センター がん対策情報センター」の統計資料です。「罹患データ」というのをダウンロードさせてもらい、その中の悪性リンパ腫に関する数値をエクセルにコピーさせてもらいました。

 結果は以下の通りです。2003年だけが突出しているのが不思議ですが、基本的には増加傾向にあることが一目瞭然です。

西暦 全年齢 65歳以上 すいません。

 グラフのファイルをうっかり消してしまったようです
 
 1975年から2005年までに全体の人数は約4倍になっています。一方人口は11194万人から2005年に12771万人に増えていますが、その人数は4倍になっていません。

 つまり人口中の悪性リンパ腫罹患率が高まったということが一つ分かります。

 次に、一般的にがんになりやすいとされている高齢者はどうかというと、65歳以上の人数は1975年が887万人だったのに対して、2005年では2539万人となっていますので、これは約2.9倍になったということです。

 一方高齢者のこの間の悪性リンパ腫罹患数は1460人から10809人に増加。およそ7.4倍です。

 この間65歳以下の罹患数はそれほど増えていません。つまり高齢化が進めば進むほど、その罹患の割合も増えると言えそうです。

 このことは、高齢者が基本的に細胞分裂の回数が多くなり、高齢化を原因と考えるなら、それだけミスコピーの機会が加速度的に増えると言うことを意味しているようにも思えます。
1975 4013 1460
1976 4161 1518
1977 4512 1690
1978 4436 1635
1979 4758 1855
1980 4741 1904
1981 5339 2226
1982 5672 2477
1983 6177 2794
1984 6260 2828
1985 6635 3168
1986 7381 3503
1987 7834 3725
1988 7912 3812
1989 7964 3937
1990 9297 4776
1991 9385 4888
1992 9879 4985
1993 9725 4961
1994 10786 5587
1995 11195 6042
1996 11490 6501
1997 11711 6749
1998 12202 7186
1999 12799 7498
2000 13307 7955
2001 13726 8317
2002 15551 9653
2003 21473 12892
2004 17499 10725
2005 16991 10809
2006 18636 11425
2007 18776 11975


 つまり悪性リンパ腫は単なる高齢化というのも一因であるような気がするということです。しかしそれだけでは生きている方の人数が2.9倍になれば、悪性リンパ腫の数も3倍ぐらいになりそうですが、実際には7.4倍という大きな差が生じていますから、やはり高齢化以外の他の要因もありそうです。(診断技術が進んだと言うこともあるかもしれません)
 


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