前ページで放射線が悪性リンパ腫を起こす原因になる可能性があると書きましたが、書きながら疑問に思ったことをまとめておきます。
それは通常のガンの場合もそうですが、普通の生活をしている人が何らかの放射線を浴びるとき、それが自然放射線の場合は基本的に全身にほぼ等しく浴びているはずです。
従って遺伝子の変質が起きる可能性は、体全体のどの細胞でも起きる可能性があります。ただ悪性リンパ腫の元になるリンパ球は骨髄中で作られていると思うので、基本的には骨で周辺を守られています。(だからこそ骨に放射線が遮られてレントゲン撮影が可能になるわけです)
もちろんX線よりガンマ線の方がエネルギーが大きいですから、骨髄中にも浸透する可能性はあります。しかしそこまで強いガンマ線を浴びた場合は、リンパ球だけでなく他の臓器にも影響が出るような気がします。
しかも一般的に自然放射線はひじょうに微量ですから、これが原因になりそうだというのは、確率としてはひじょうに低いはずです。
では医療等で使われる一般のレントゲン撮影はどうなのか?これは確かに自然放射線の値よりもかなり大きな線量が体内に照射されます。
しかしレントゲン撮影で肺ガンになった、といった因果関係は認められていないはずです。もし認められたら、レントゲン撮影は出来なくなっているはずです。
肺のように直接照射される場所でもX線と肺ガンの因果関係は認められない訳ですから、ましてや上に書いたように骨の中にあるリンパ球に対する影響はほとんどないと考えて良いように思います。
実際私の連れの場合は、悪性リンパ腫を発症してからは、本当に何回もレントゲン撮影やらCTを撮りましたが、それ以前はほとんど病気をしなかったので、レントゲンなど撮ったことがありません。
従って、自然放射線を浴びることによって、リンパ球の遺伝子が変質する可能性はゼロとは言えませんが、実生活の中ではほとんど考慮しなくても良いような気がします。
あえて言えば、原発の炉心近辺で働かなくてはいけない人や、医療関係で日常的に放射線を扱っている人の場合は、普通の人より若干被ばく量が多いので、放射線が原因となる確率も高くなるはずです。
しかし面倒なのは前回書いたように、放射線が飛んできて、それが遺伝子にあたるかどうかは確率でしか考えられないということで、しかも不幸にも的中したとしても、周辺のT細胞やNK細胞がすぐに修復してしまえば、見かけ上はなんら影響はなかったと言うことになります。
従って、危険性はあるものの、自分自身の免疫力にも関係するので、個人個人によって影響は異なるという曖昧な言い方しか出来ません。そのため原因の一因なる可能性はありますが、実際にはそれを証明するのは不可能のような気もします。