血液検査の項目(血球編3)

 以下の項目は、悪性リンパ腫の症状が進行したとき、大学病院側で新たに検査項目に付け加えてきた項目です。普段聞き慣れない名称も含まれています。

名称 説明 最小値 最大値
芽球 blast
血球は骨髄で造血幹細胞から作られますが、その成長過程で白血球、赤血球、血小板、リンパ球、単球に分化していきます

ということは、当然造血幹細胞が何らかの変質をしていくわけですが、芽球はその変質がちょうど始まった頃の血球の事を指し、まだ白血球等の性質が観察できない段階の血球細胞です

当然ながら分化の過程は骨髄で行われるわけですから、本来なら血液中には含まれないはずですが、白血病の症状が出てくると、こういった芽球が血液中にも観察されるようになります

ただ抗ガン剤の治療後に一時的にG-CSF(ノイトロジン)等で血球の増殖を刺激すると、血液中に観察できる場合もあるようです

なお最小値の数値−50%の意味が私にはよく分かりません。最大で0%ですから、基本的に含まれないことがいいわけで、最小値−50%は意味をなさない数値のように思えます。以下の項目についても同様です

−50% 0%
前骨髄球
一連の検査項目を見て、なおかつネットで調べた情報を総合すると、骨髄で白血球が成長する過程は

「造血幹細胞」→「骨髄芽球」→「前骨髄球」→「骨髄球」→「後骨髄球」→「棹状核球」(棹は竿と書いてある表記もありました)→「分節核球」→「好中球」という流れで成長していくようで、後骨髄球までは通常の血液の中には表れないはずなので最高値が0%となっているようです

−50% 0%
骨髄球 myelo
上記の説明と同じです

−50% 0%
後骨髄球 meta
上記の説明と同じです
−50% 0%
棹状核球
棹状核球と下記分節核球は、上の説明の通り、好中球になる前の段階ですが、血液中で成長しますので、血液検査でも普通に数値が出てきます

感染症、白血病、抗ガン剤からの回復期に数値が増加します

4% 15%
分節核球
上記の説明と同じです

なお白血病の場合は白血球自体の増加と共に、成長過程にある骨髄球や下記赤芽球も増加することで、感染症等と区別するようです

44% 62%
異型リンパ球 A−Lymph
リンパ球は骨髄で造血幹細胞から分化し血液中に放出されますが、ウイルス等の抗原と反応すると、成熟前の若いリンパ球の形に戻ることがあるそうで、これを顕微鏡で見ると通常のリンパ球と形が異なるため異型リンパ球と呼ぶそうです

従って、血液中に異型リンパ球が見られたからといって、ただちに何らかの重大な病変が生じているとは断定できません

異型と言う文字に恐怖感も覚えますが、悪性リンパ腫によって生じるリンパ球とは違うものですから混同しないようにしないといけないようです

2% 5%
赤芽球
これまでの流れでだいたい想像がつくと思いますが、骨髄中で造血幹細胞が赤血球になるまでの途中段階の細胞の事です

通常はこの赤芽球の核がとれて赤血球になります

基本的には骨髄中に存在し、血液中にはほとんど存在しないものです

0% 1%
デーレ小体
好中球内に見られる小さな組織で、塩基性の染色液に染まることによって観察されるそうです

感染症等によって、好中球の中にこういった組織が観察されることがあるようです

4% 8%
中毒顆粒
通常の好中球と比べて、細胞内の顆粒が大きく、染色すると濃い色に染まるものを中毒顆粒と呼ぶそうです

好中球を急激に増やす必要が生じたとき、完全に成熟しない状態で骨髄から血液中にほうしゅつされることがあるようです

当然血球の増殖を刺激するG-CSF(ノイトロジン)等の利用でも起きることがあります

これと合わせて、デーレ小体も観察されることがあるようです

28% 44%

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