細胞分裂の過程と抗ガン剤の作用

 造血幹細胞はすべての血球の源ですが、これが分裂をするときは、同じ造血幹細胞が二つできるのではなく、一つはもとの造血幹細胞となり、もう一つが、その時に必要としている血球の元になる細胞に分かれます。

 この血球の元になる細胞は、今度は通常の細胞分裂を繰り返し倍々に増えていくわけですが、その分裂過程で成長分化し、それぞれ必要とされる血球になります。

 問題は同じ細胞分裂の中で、抗ガン剤が効力を発揮するのはこのどの過程なのか。造血幹細胞からリンパ球が出来るまでの、どの過程の細胞に一番よく効くのかということを知りたかったのですが、これについて記載されているページを私は見つけることが出来ませんでした。

 つまりリンパ球は

@ 造血幹細胞 → リンパ芽球

A リンパ芽球 → 前リンパ球

B 前リンパ球 → Bリンパ球またはTリンパ球

というように成熟していくわけですが、その過程でそれぞれ細胞分裂が行われているわけです。この過程のどこに問題があって、悪性リンパ腫細胞が出来るのかが分かれば、そこを抗ガン剤で狙うことが出来るかもしれません。(私の個人的考えです)

 しかし現実に見聞きする抗ガン剤の効果は、細胞分裂時に一番効果があるという記述が多いわけですから、これらの過程のすべての部分に働いている可能性が強いように思えます。だからこそ抗ガン剤治療をすると、白血球以外の赤血球や血小板も含めたすべての血球の数が一時的に減少するのだと思います。

 つまり造血幹細胞が分裂しようとするときに、それを抗ガン剤のはたらきで分裂できないできないようにする。またはリンパ芽球が分裂するとき、それを分裂できないようにする。前リンパ球の分裂を阻害する、といったことです。

 さらに、それぞれの抗ガン剤が1回の細胞分裂のどの過程を阻害するのかというのも問題です。実際に細胞分裂が始まると、以下の過程で進行します。

@ 細胞の核の中に糸状の染色体が表れる

A 染色体が太く短くなる

B 染色体に縦の裂け目が出来る

C 染色体の中央に結び目(動原体)が出来る

D 核膜が消失する

E 両極から紡錘糸と呼ばれる糸のようなものが伸びてくる

F この紡錘糸が動原体に付着する 

G 染色体が中央部に集まる

H 染色体が縦に裂け、紡錘糸に引かれるように両極に移動する

I 染色体を取り囲む核膜が作られる

J 細胞の中央にくびれまたは仕切りが出来る

K 染色体が糸状になる

L くびれまたは仕切りによって、二つの細胞が出来る

M 染色体が見えなくなる 

というような過程をたどるわけですが、この中のどの過程に抗ガン剤がもっともよくはたらくのか。それともこの@からM以外の準備過程で働くのか、ということが抗ガン剤の作用を考える上で大事なような気がします。 


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