造血幹細胞から様々な過程を経てリンパ球が生じることが分かりました。そのどこかでリンパ球そのものが増殖、分化をしていることも分かりました。
そこに抗ガン剤が作用すると、その細胞分裂を阻害し、それ以後の新しい細胞を生成することが出来なくなります。この時抗ガン剤はこの細胞は造血幹細胞だとか、この細胞は白血球だ、こちらはリンパ球だ、というように相手を識別するような事は出来ないはずです。
またさらに言うと、通常の体を作っている体細胞がちょうど細胞分裂をしていれば、その分裂にも影響を及ぼします。
つまり抗ガン剤というのは、全身の分裂過程にある細胞すべてにその作用が及ぶことになります。従って抗ガン剤治療では、治療後に血液検査をすれば、ほとんどの血球の数が減少するわけです。
もし分裂している体細胞すべての数が分かれば、たぶんその数も一時的に影響を受けて減少しているのではないでしょうか。
ただこれはいろいろな抗ガン剤の説明にも書かれていることですが、抗ガン剤そのものは相手を選ばず、ともかく分裂過程にある細胞すべてに影響を及ぼしますが、当然ながらその影響はもっとも活発に細胞分裂を行っている部分に影響が強く出ます。
このもっとも活発に細胞分裂を行っている部分というのが、実はガン細胞である、ということになります。つまりすべての細胞が影響を受けるものの、その中でさらに強く影響を受けるものが、常に分裂を続けているガン細胞であるという事です。
要するに正常細胞は一定の周期に従って、またきちんとした設計図と時間的な計画に従って分裂が行われていますので、そこにその分裂を阻害するような抗ガン剤が作用しても、その影響はガン細胞に比べて少ないと言うことです。
これに対して、ガン細胞はそれこそ無秩序に、設計図もいい加減、時間的な周期も適当に、ただただ休む間もなく分裂を続けるという性質がありますので、抗ガン剤の効き目が大きいという結論になります。
しかししつこいようですが、正常細胞が影響を受けないわけではありませんので、それが様々な副作用となって現れてくることは確かです。特に正常細胞の中でも、活発に細胞分裂を行っている場所で、その影響が強く表れるはずです。
つまりこの考えを延長すれば、なぜ抗ガン剤を使うと、不愉快な副作用が多数生じるのかと言うことも理解できます。
具体的には、皮膚や内臓等の上皮細胞は活発に細胞分裂を行っていますから、そこに影響が出れば口内炎や吐き気、下痢と言った症状が起きます。
また毛根も活発に細胞分裂を行っていますから、その影響をもろに受けて、脱毛という副作用が生じることになります。
ということは逆に言うと、皮肉な見方ですが、これらの症状が現れれば、抗ガン剤が体に対して効いていると言うことにもなります。
しかし私の連れの症状を見ていて、出来ればこれらの症状を感じることなく、ガン細胞だけにはたらく抗ガン剤があればいいのになあと強く思うことも事実です。(この考えがリツキサン等の分子標的薬に発展します)