抗ガン剤は体内で今まさに分裂しようとしている細胞すべてに何らかの影響を与えることが分かりました。その際、特に激しく細胞分裂を行っている組織が一番ダメージを受けます。
この激しく細胞分裂を行っている組織がガン細胞に該当するわけですが、正常な細胞の中にも活発な細胞分裂を行っている組織が存在するので、その部分が影響を受けると、不愉快な副作用が生じることになります。
そこでどんな副作用が生じるのかと言うことを簡単にまとめておきたいと思いますが、この部分については市販の専門書やネットでの情報の方が詳しく書かれているかもしれません。
また一般的な副作用の原理は上記の説明で正しいと思いますが、それぞれの薬の特性によって、細胞分裂だけでなく、神経系に障害を与えたり、筋肉に影響を及ぼすものもあります。
なぜかというと、そもそもの抗ガン剤の歴史をもう一度振り返れば分かることですが、いわゆる毒ガス兵器から抗ガン剤は発展してきています。毒ガス兵器の目的は、神経への影響によって敵兵力を無力化することですから、もともとは神経毒だったわけです。
つまり本来は神経毒が主作用で、血球減少は副作用だったものが、医療現場ではそれを逆転させ、主作用を血球減少、副作用を神経毒としてとらえているわけです。
嘔吐 吐き気 |
延髄の嘔吐中枢が刺激されます 同じ薬剤でも人によって感じ方というか、影響の出方が変わるようです ただお腹が空いているのに気持ちが悪くて食べられないという状況は気持ちを萎えさせます 最近は制吐剤が使われ、一定の効果があるようです 私の連れは、1年目はあまり嘔吐感がなかったようですが、白金製剤は合わなかったみたいです |
下痢 | 胃や腸の内壁が弱くなることによって起こります 白血球が少ないと、当然雑菌が繁殖しやすくなりますから、下痢の頻度も増えます |
口内炎 | 口腔内の皮膚上皮が抗ガン剤の影響で弱くなります 通常でもたまに起きる白い炎症ですが、白血球が少ないと炎症が治まらず、痛みや腫れが続きます 当然食事をすることが難しくなり、吐き気もあると自力で食べることが難しくなります 点滴で対応します 連れの場合は、この口内炎がひどかったため、食べたいのに食べられない状態が長引き、大きなストレスを感じたようです ちょっとした歯肉炎が悪化することもあるので、口腔内を清潔に保つ意識が必要です うがい薬をよく使っていました |
脱毛 | これまで説明してきたように、活発な細胞分裂が行われているため、影響が大きくなります 放射線を使っていなければ、治療終了後元に戻ります 治療中はカツラ(ウイッグ)やバンダナを利用する人が多いようです 連れに寄れば、脱毛が激しいときは、ごそっと抜けると言っていましたから心理的なインパクトは大きいです 衣服やシーツに毛髪が散乱しますので、粘着性のコロコロをしょっちゅう使っていました |
好中球減少 | 正常な白血球が著しく減少します 白血球は感染を防止する重要な血球ですから、減少しているときは雑菌に注意が必要です この時期は無菌室で過ごすのが普通です 見舞いは手洗い、マスク着用で、私は体に触れることも避けていました 風邪等を引いた体で見舞いに行ってはいけません そうでないときでも、咳やくしゃみも出来ないなと思っていました 治療当初は自力で回復出来ますが、骨髄の力が衰えてくると回復に時間がかかるようになります 必要に応じてG-CSF(白血球コロニー刺激因子)が使用されます 我が家の連れには「ノイトロジン」が使われていました これを使うと、一時的にものすごい勢いで白血球が増えます しかし使いすぎると増加率も衰えるように感じています |
血小板減少 | 正常な血小板が減少します 放置すると内出血や、ちょっとした傷で出血がとまらなくなります G-CSFのような刺激薬剤はないようで、輸血で対応します 血小板のみの輸血は黄色い色をしています |
赤血球減少 | 正常な赤血球が減少します 放置すると貧血になります G-CSFのような刺激薬剤はないようで、輸血で対応します 輸血で対応します |
神経毒性 | 味覚障害が起きると、食べ物の味が変わります 連れは病院の食事がまずいとぼやいていましたが、味覚障害の影響もあったと思います 食べ物を差し入れたとき、同じものを食べているのにまったく違う感想を口にしたので驚かされました 連れの場合は、味覚障害と手先のしびれや運動障害が大きかったと思います 力が入らなくなったとも言っていました 普通の瓶のふたをねじって開けることが出来なくなりました |
倦怠感 | 我が家の連れの場合は、この倦怠感をよく訴えました その時期は、だいたいが白血球が減少する時期と一致していました G-CSFによって、白血球数値が回復すると、倦怠感は収まったようです |
その他の 副作用 |
便秘、呼吸器障害、肝機能障害、腎機能障害、心機能障害、間質性肺炎 もともと毒物を体内に入れているわけですから、こういった症状が起きるのは当たり前かもしれません 特に肝機能や腎機能等は血液検査の数値で、その変化がすぐに分かります また心機能については、抗ガン剤を入れる前に検査が行われました |