治療を繰り返す必要性

 以下これまでの知識を元にした個人的な私の考えです。リンパ腫細胞への治療が繰り返される理由(3〜8クール行わなければならない理由)として、このようなことが考えられるのかなという推測です。

 抗ガン剤が体内に入ると、血流に乗り体の隅々まで行き渡ります。そこでたまたま細胞分裂をしている細胞があると、その分裂を阻害するわけです。

 ところが、細胞分裂をしていなければ、抗ガン剤は例え悪性リンパ腫細胞が目の前にあったとしても、何の影響も与えません。(DNAの合成を阻害するので、合成過程にない細胞に影響は出ません)

 一方抗ガン剤は、本来の体の中にはない薬物で、ある意味毒物ですから、体は必死になって肝臓や腎臓で濾し取り、体外に排出しようとします。(その結果副作用として肝障害や腎障害が起きる可能性があります)

 排出されてしまえば、当たり前ですが抗ガン剤としての効力は失われるわけですが、この間一度体内に入れられた抗ガン剤がどの程度の期間体内を環流しているかと言うことは大きな問題です。

 例えば3日間程度体内にあったとすると、その間に出会った分裂途中の細胞に3日間効果をあらわすことになりますが、その3日間の間、細胞が細胞分裂をする準備期間に入っていた場合、その細胞は抗ガン剤の影響を受けません。

 ではいったい細胞分裂を実際に行っている時間と、その準備のための時間がどのくらいなのか、と言うことをリンパ球の場合で知りたいのですが、どうもよく分かりません。

 そこで高校の生物の教科書等を参考にすると、人の腸の上皮(結腸上皮と呼ぶそうですが)の細胞周期は分裂に要する時間は1時間、その他の時間は38時間となっています。

 つまりある瞬間の上皮細胞を見ると、ほとんどの細胞は普通の細胞の形をしていて、その中の39分の1の細胞だけが細胞分裂中であるということです。

 従って、仮にその結腸上皮細胞をリンパ腫細胞と見立てると、1時間の間に抗ガン剤が作用しても影響を与えられるのは39分の1の細胞だけで、残りの39分の38の細胞は生き残っていることになります。

 とすると抗ガン剤が例えば3日間、すなわち24×3=72時間体内を環流していると、39時間でどの細胞も基本的に細胞分裂を迎えますので、すべての細胞に影響が及び、体内からガン細胞が一掃されるように思います。

 ところが通常の体細胞と異なる白血球の寿命を調べてみると、10〜20日と書かれている資料が多いです。つまり10〜20日間白血球またはリンパ球として活躍し、その後寿命が来て分解またはその間に増殖するわけです。

 と言うことは仮に一番短い10日と考えても、240時間あるわけで、その間に1回分裂すると考えると、これがガン細胞なら10日間体内に抗ガン剤が環流していないと、ガン細胞に影響を与えないことになります。

 しかし10日間も連続して抗ガン剤を投与したら、他の正常な細胞が参ってしまい、副作用によって命が脅かされます。

 そこで、1〜3日間ぐらい抗ガン剤を連続投与して様子を見て、その後の状況で再び投与と言うことを繰り返すのかなと推測しています。(しつこいようですが、あくまで個人的な見解です)


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