何クールやるのがベストなのか

 前回までで、抗ガン剤が悪性リンパ腫に効果があるという理論的な根拠を、私なりにまとめてきたつもりです。従って、この後リツキサンや実際の治療でどの程度効果があがるのか、そのことを生存曲線等を利用して考えていこうと思っていたのですが、実は現時点でこのホームページをまとめながら疑問に思ったことが二つあります。

 その内容について考えをまとめるために、昨日は更新をお休みしました。どうゆうことかというと、理屈では今までまとめてきたことが正しいと思われるのですが、実際の治療の説明や結果では、良い意味でも悪い意味でも必ずしも理屈通りに進まないような気がするということです。

 特に治療効果があったという様々な報告や、私自身の主治医の説明を聞いて感じる疑問が二つありましたので、それについてここでまとめておきます。

@ 多剤併用療法は第1回目がひじょうによく効く。だから最初に強い治療をやって一気にリンパ腫細胞をたたくことによって効果が上がる。

 主治医の説明です。しかし多剤併用だろうが抗ガン剤単体の使用だろうが、抗ガン剤は細胞分列時に作用する、という効能をうたうならば、逆に細胞分裂準備期には抗ガン剤は効かない、と言うことになります。

 「だから何回も繰り返すんだ」という主治医からの説明を何回も聞き納得していましたが、一方で「第1回目(第1クール)が一番効果がある。2回目以降は残った細胞をやっつけるために行うんだ」という説明は、細胞分裂をしている段階の細胞だけに抗ガン剤が効果を発するという説明と矛盾します。

 このあたり、患者側の知識が少ないために、医療側から、なんとなく誤魔化されているような印象を受けます。

 また2回目以降に残っている細胞は、抗ガン剤そのものに抵抗力があるので徐々に効きにくくなる、という説明も聞きました。

 だとすれば、いたずらに回数を重ねても(クールを5回も6回も繰り返す)、体への副作用が大きくなるだけで、治療効果は上がらないようにも思えます。

 かといって1回では不安だ。じゃあ2回やって安心かというと、これでもやはり不安は残ります。そうやって不安だ不安だと思って繰り返せば、それは体力の限界までやらざるを得ない、と言うことになります。

 では適正回数はいったい何回なのか。病院側は標準治療として、これまで積み上げてきた実績から、この年齢のこの段階の病状の患者さんには○回繰り返す、というフローチャートのようなものがあるという話を聞いたこともありますが、患者側への説明ではそこまで背景の説明はなく「○回やりましょう」という言い方をすると思います。

 つまり病院側のクール数の判断は、あくまでそれまでの実績による平均的な回数の提案であって、その患者個人の細々とした特性を考慮しているわけではないという事なのかなと思っています。(病院側として、過去の実績で判断するしかないのだと思いますが)

 つまり適正回数はやってみなければ分からないし、いたずらに回数を繰り返しても効果がない、と言うことではないかと思います。

 二つめの疑問は、何故抗ガン剤で悪性リンパ腫が根治する場合があるのか、という根源的な疑問ですが、これは次回まとめます。


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