抗ガン剤利用で
悪性リンパ腫が完治する理由

 今更ながら、ここまで書いてきて、完治する理由が分からないというのは、はなはだ無責任であるような気もしますが、反面この部分をきちんと抑えておかないと、完治または寛解という意味が実感できないのかなという気がします。

 私が感じる疑問点は以下のようなことですが、例に出した数値は、個人的に勝手に設定したもので、実際の治療効果や臨床例を知った上で設定した数字ではないことを、あらかじめお断りしておきます。

 例えば抗ガン剤治療を4クール行ったとします。1回目は仮に70%の効果が上がったとします。と言うことは残りは30%です。

 次に残存細胞は抵抗力がつく、ということを加味して(加味しなくても良いのですが)、第2クールで30%の内、60%に治療効果が及んだとします。残りは30%の中の40%ですから、12%に減っています。

 第3クールをやります。治療効果は50%に下がったとすると、半分は生き残っています。つまり12%の半分である6%です。

 第4クールをやります。治療効果は40%に下がりました。と言うことは6%の内の60%が残存細胞として生き残っています。つまりこの治療では最終的に3.6%のリンパ腫細胞が生き残ることになります。つまり抗ガン剤だけではリンパ腫細胞は完全に殲滅できないと言うことです。

 だからこそリツキサンを使うんだ、という議論になるのかもしれませんが、この薬剤が出来る前にもCHOP療法のみで、寛解に至った人は大勢いるはずです。

 しかも寛解に至りながら再発した人もいるかもしれませんが、5年以上経っても再発せず、元の生活に復帰している人もいるわけです。

 これはいったいどうゆうことなのか?抗ガン剤治療だけでは、すべてのリンパ腫細胞を駆逐することは出来ないはずなのに、完全寛解(再発もしない)にいたる人がいるということは、何らかの形で、残りのリンパ腫細胞が駆逐されたとしか思えません。

 ではこの何らかの形とは何か。一般的に考えられることは、自分自身の免疫細胞であると言えます。つまりB細胞の悪性リンパ腫なら、T細胞やNK細胞が頑張って、残りの異常なB細胞を駆逐する、というイメージです。

 ということは、もし抗ガン剤でこういったT細胞やNK細胞までが痛めつけられてしまうと、残存細胞を駆除する免疫力が弱くなるため、再発しやすい、ということになりそうです。

 私が本当の部分で疑問に感じるのは、最後の1個のリンパ腫細胞を壊すのは何か、ということです。抗ガン剤でないとすれば免疫細胞というのが一般的な考え方なので、上のように話を展開しましたが、人間の体内の生理活動はまだまだ未知の部分がありますから、それ以外に働くものがないとは断言できません。

 そしてそのことが例えば免疫細胞が働いているからだ、と断言できるようなら、逆に多少残存細胞があっても、自己の免疫力を強化することによって、自分自身で自分の体を寛解に至らせることが出来るのではないかとスラ思えます。

 このことを更に発展させると、抗ガン剤治療で免疫系までずたずたになってしまうと、一旦は寛解に至っても、結局は再発を繰り返してしまうのではと思え、だとすると必要以上のクール数は絶対に避けなければいけないという結論になります。


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