生存期間中央値の意味

 実際に悪性リンパ腫に限らず「抗ガン剤または化学療法の生存曲線」という検索語句で、様々な生存曲線を見てみると分かりますが、グラフの形は、ほとんどが下降しながら下に膨らんだグラフになっています。

 そこでこのグラフにあてはまる形は数学的にどんな場合なんだろうと考えてみました。例えば生存率が半年ごとに50%あったとすれば、数字は以下のようになります。

0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.5
生存率% 100.00 50.00 25.00 12.50 6.25 3.13 1.56 0.78

 次にもう少し効果のある化学療法が行われ、半年間の生存率が65%に上がったとします。するとこの場合の生存率は以下のようになります。(100に次々と0.65をかけ算していくだけです)

0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5
生存率% 100.00 65.00 42.25 27.46 17.85 11.60 7.54 4.90


 この二つの数値をエクセルに入れて、グラフを書かせてみると、こんな感じになります。どうでしょうか?二種類の化学療法を比較したグラフにひじょうによく似たグラフになります。グラフの横軸は二目盛りで0.5年になっています。



 この時、50%のところに横線を引っ張ると、黒線との交点の横軸のメモリは0.5年、すなわち約6ヶ月になります。ピンク線との交点のメモリは0.8年よりちょっと上ぐらいでしょうか。すなわち約9ヶ月です。

 つまり言い換えるとこのグラフでは、黒線の化学療法では、半数の人が約6ヶ月生きたということになり、ピンク線のグラフでは、半数の人が約9ヶ月生きたということになります。

 この半数の人が生きた期間のことを、化学療法によるガン医療で「生存期間中央値」と呼んでいます。この場合ピンク線の療法を行えば、黒線の療法を行うより半数の人の寿命が約3ヶ月伸びる、という結果になり、これが化学療法の効果を表す一つの指標になっています。


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