ガン患者さんの直接の死因は?

 化学療法が効を奏してリンパ腫細胞がなくなり寛解となり、さらに5年経っても再発しなかった、というのが患者さんや病院の理想とするところだと思います。

 一方でそういった化学療法がうまくいかなかったときどうなるか、と言うことを家族が知っておくことも大事なことのような気がします。

 大変辛くて悲しい話ですが、我が家の連れも含めて、そういったことが現実に起こりえることも間違いありません。むしろうまくいったときはそれほど記憶に残らず、うまく行かなかったときほど、様々な悔いが残るため記憶も鮮明になるような気がします。

 そんな気持ちを持ちながら、あらためて私の連れの病状を振り返ると、最少は悪性リンパ腫という病名でしたが、最後は白血病を経て「肺炎」で亡くなっています。

 つまり悪性リンパ腫と言う病気が原因ですが、最終的には化学療法の副作用による骨髄抑制が激しすぎて、肺炎になったということです。

 ということこは、化学療法が激しすぎなければ骨髄抑制もそれほど強く起こらず、肺炎にはならなかったはずで、もう少し寿命が伸びた可能性があります。

 しかも強い化学療法を行っていなければ、副作用もそれほど激しいものにはならず、副作用で苦しみ、さらに骨髄抑制による肺炎で苦しみながら命を失う、という悲惨な状況にはならなかったはずです。

 では強い化学療法ではなく、言葉だけで定義するのも難しいのですが弱い化学療法だったら
どうなのか?

 その場合リンパ腫細胞の勢いが増して、再び骨のカルシウム成分が血液中に溶け出し、高カルシウム血症となり、やはり命に影響したのでしょうか。(リンパ腫細胞が血液中で増殖すると、骨のカルシウム成分を溶かすような物質を放出するみたいです)

 その場合の症状と、強い化学療法による骨髄抑制や副作用の症状と、同じ期間生存したとしたらどちらが本人にとって楽だったのか。

 最後までリンパ腫細胞を駆逐できることを信じて化学療法を行うべきなのか、それとも緩和ケア療法に進むべきだったのか。今更どうこう言ってもしょうがないのですが、当時を振り返る度に今も悩みます。

 そう思っていろいろと考えていて、ふと思ったのは、例えば新聞報道でも誰それが何とかガンで亡くなったと書かれていますが、その亡くなった直接の原因は何なのだろうか、と言うことが気になるようになってきました。

 つまりがんが進行したことが直接の死因なのか、放射線治療や化学療法による内臓機能の衰えや全身の体力低下なのか、骨髄抑制による感染症なのか、ということです。

 この辺りの統計数値がないのかなと探してみたのですが、統計数値の根拠となるのは死亡診断書や病院からのアンケート調査みたいなものが根拠になるのかなと思え、そうなるとその結果はかなり不確かになりそうだなと感じました。

 というのも、もし死因を骨髄抑制による肺炎と書いたとすると、それは化学療法の失敗を意味するように思え、病院側の意識として書きにくいだろうなと思えたからです。

 (実際我が家の連れの死亡診断書を改めて確認すると、元々の原因は「悪性リンパ腫」と読み取れ、直接の死因は「肺炎」ではなく「急性白血病」となっていました。当時はそこまで気がついていませんでした)

 つまり悪性リンパ腫と言わず、一般のガンであっても、ガン細胞が増殖した事によって亡くなるわけではなく、様々な治療を行ったことが原因で亡くなる方が少なからずいると言うことです。

 個々人の症状によって、どのような治療を選択するのかは大変難しい問題で、多くの場合エキスパートと思われる医師の薦めに従わざるを得ない部分も多いと思いますが、少なくとも患者の家族はこう言ったことまで考慮しないといけないなと感じています。


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