免疫を増やすと効果があるのか

 再び悪性リンパ腫の治療を考える上で基本となっている、私自身が勝手に考えた以下の式をみています。

 (ガン細胞の生産力)+(新たなガン細胞の生産力)+(骨髄抑制)+(副作用)+(ストレス)><(アポトーシス)+(免疫)+(化学療法)+(リツキサン)+(幸福感?)という式です。

 この式で、右辺の治療効果についていろいろ考察しているわけですが、ここまでをまとめると

@ 化学療法は確かに効果があるものの、左辺の(新たなガン細胞の生産力)+(骨髄抑制)+(副作用)と言う部分も同時に増えてくるので、単に強いだけの化学療法では体力が持たない

A リツキサンは分子標的薬として大きな効果が期待され、Bリンパ球に由来する悪性リンパ腫では、実際にその期待に応える結果が出ているが、それで100%治るとも言い切れない

という結論になりました。ただ生存率等をみれば分かるように、@の治療を適切に行うことによって延命効果が確認され(適切に行うというところが難しいのですが)、さらにAを加えることによって、より延命効果が期待できることが、様々な臨床例で証明されているようです。

 そこで次の段階に入るわけですが、次は免疫です。

 体内には白血球を初めとしてBリンパ球、Tリンパ球、NKリンパ球というものが血液やリンパを通して循環し、体外からの異物や体内の異常な細胞を見つけると、それを破壊する方向で働きます。これが免疫の基本的な働きだと解釈しています。

 また通常健康な人であっても、毎日数千個の異常な遺伝子を持つような細胞が生まれてきていますが、それらはこの免疫の力によってすべて駆逐され、一般的にはガンにならないと言われています。

 ということは、この免疫力を強化すればガン細胞を駆逐できるのではないかという発想になり、そのことから様々な「免疫療法」という言葉が出てくるのだと思います。

 ここまでの論理は特に間違っていないと思うのですが、では実際に免疫療法が大きな効果を上げ、実際の治療で実績を上げているかというと、なかなかそのような結果は聞こえてきません。

 本やさんに行ってガンの治療についての一般的な書籍を見ると、この免疫療法に関するものがひじょうに多いことが分かり、その実績についても個々の書籍で紹介されているようですが、それが全国的に標準治療として認められているわけではない、と言う部分に疑問を感じていしまいます。

 つまり一見ひじょうに分かりやすくて効果の出そうな療法ですが、実際にはまだ標準治療としての地位を確立しているわけではないと言うことです。問題はその理由ですが、以下のようなことかなと推測しています。

@ 免疫があったにもかかわらず悪性リンパ腫を発症したと言うことは、その免疫をすり抜ける要素をすでに悪性リンパ腫細胞が持っていた。

ということになり、その段階で免疫細胞を増やしても

A 悪性リンパ腫細胞は、すでに一度免疫をすり抜けているので、いくら免疫を増やしても当該リンパ腫細胞を抑制する効果はない。

ということが考えられます。

 ただしストレスや体調不良等によって、発症当時著しく免疫の力が弱っていた場合は、この免疫力を回復させることによって、一定の抑制効果は出てくる可能性はありそうです。

 つまり発症当時の体調やストレスがどうだったかということを考えた方が良いと言うことです。
 


表紙に戻る 化学療法 免疫の効力