免疫が効果を発揮する条件

 前ページの二つの結論

@ 免疫があったにもかかわらず悪性リンパ腫を発症したと言うことは、その免疫をすり抜ける要素を悪性リンパ腫細胞が持っていた。

ということになり、その段階で免疫細胞を増やしても

A 悪性リンパ腫細胞は、すでに一度免疫をすり抜けているので、いくら免疫を増やしても当該リンパ腫細胞を抑制する効果はない。

ということをもう少し掘り下げます。

 そもそも最初のリンパ腫細胞がいつ頃出来たのかと言うことです。通常のガンの場合、一説に寄ればDNAの損傷があり、それが免疫機構をすり抜け、いわゆるガンとして立派に育つ?ためには何年もの期間が必要だ、と言うようなことが書かれています。

 ということは当該細胞はその間ず〜っと免疫細胞の監視をくぐり抜けてきたわけですから、今更既存の免疫を強化しても、結局はそれほど効果が表れない、と言うことになりそうです。

 ただし昨日も書いたように、ストレスや体調不良等が何年も続き、その間免疫の力が弱っていた場合は、当然監視力も弱くなっていると思われるので、本来ならアポトーシスや免疫で駆逐されるはずだったリンパ腫細胞が見逃されて増殖するの可能性もあります。

 その場合は通常の免疫力を回復させることによって、一定の抑制効果が期待できると思えます。

 つまり、免疫の力を強くしたとき効果が表れるのは、それまでストレス等で体調不良に陥っていた方が、心機一転、ストレスのない健康的な生活を送ることによって免疫効果が表れる、ということです。

 また免疫力が高ければ、寛解に至った後、化学療法に起因する新たなガン細胞が生まれたとき、それらを駆逐する能力は維持していると思われるので、再発に対してはある程度免疫力の高さが効果的であるといえそうです。

 ただし再発した場合のリンパ腫細胞が、各種の化学療法で使用された抗ガン剤に対する耐性を持ったため再発したと言う場合は、これはもともとが免疫をすり抜けて増殖した細胞ですから、自己免疫を高めてもあまり効果がないような気がします。

 つまり免疫療法で効果があると思われるのは

@ 悪性リンパ腫が発症するまでの間、相当長い期間(数年間?)ストレス等にさらされ続け、免疫力が弱っていたため発症した、比較的悪性度の低い悪性リンパ腫だった場合

A 化学療法でいったん寛解に至ったものの、そこで使われた抗ガン剤が引き金となって新たなDNAを持つリンパ腫細胞が生まれた場合

であるように思えます。一方効果がないのは

@ もともと発症当日まで元気いっぱいで活動していた人は、免疫機能も充分活躍していたはずで、その方達に発生した悪性リンパ腫の場合、それらの免疫をすでにすり抜けている可能性があるので、いまさら免疫を強化してもあまり効果がない

A 再発した場合でも、それがもともとものリンパ腫細胞が抗ガン剤に対して耐性を持って生じた再発の場合は、DNAの根本部分は変化していない可能性が大きいので、免疫を強化しても大きな効果を生じない

 と言うことになるように思えます。ただ話がややこしくなるのですが、化学療法を行うと、この免疫力も阻害されることは間違いありません。

 従って再び同じ結論になりますが、無闇と強い化学療法は自己の免疫力も弱めてしまい、再発防止の効果も薄れるという結論になります。


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