リンパ腫細胞の細胞周期を考える

 リンパ腫細胞がどのくらいの速さで増えていくのかを計算するためには、1回の分裂に要する時間(細胞周期)が分からないといけないのですが、以前も書きましたが、ネット上ではその時間が見あたりません。

 またリンパ球の成長過程によってもその時間が違うみたいで、若い細胞ほど早いようです。つまり造血幹細胞がリンパ芽球となり、さらにリンパ球になるわけですが、造血幹細胞に近い状態の時ほど細胞周期は短いということのようです。

 一方通常の体細胞の細胞周期は1〜4日ぐらいであることはいくつかの資料で確認しましたので、今仮にリンパ球もこれに準じて、若いリンパ球は3日程度と考えてみると、一ヶ月で10回分裂することになります。

 ということは1個の異常細胞は一ヶ月経つと約500個、更に一ヶ月経つと約50万個、更に一ヶ月で5億個となります。(単に2倍2倍と繰り返して計算しているだけです)最初の話に戻れば、約三ヶ月で0.5gになりますので、これでは細胞周期の設定が早すぎるように思います。(その理由については次のページにまとめます)

 そこで今度は細胞周期を倍の6日と考えてみると、一ヶ月で5回倍になるので、5億個になるまでの時間は半年になります。

 しかし連れの症状を考えても、1月にはすでにその症状が表れていたわけですから、実際にはその前から分裂が始まっていたはずです。

 そこで細胞周期はおよそ10日ぐらいと考えると、要するに30回ぐらい分裂すると10億個ぐらいになるわけですから、この場合は10ヶ月で約10億個になります。

 ただし、最初に分裂を開始したリンパ腫細胞がはたして1個なのかどうかも不明なので、もし2個から始まればこの細胞数は倍になります。

 またどの程度の個数でどういった症状が出るのかはまったく分かりません。ただ、この10日程度の細胞周期を設定すると、連れの場合の症状の変化(自覚から半年ぐらいで症状が悪化したという状況)にだいたい一致するような気がします。

 ただし上にも書いたように、最初のリンパ腫細胞が1個だったかどうかは分かりません。複数から始まっている可能性も充分あります。

 また増殖過程でアポトーシス機能が発動したり、免疫の監視機能に引っ掛かるリンパ腫細胞も出てくると思われ、その場合は増殖率が下がります。

 また細胞数が増えれば増えるほど、各細胞への栄養補給を多く必要とすることになり、既存の体組織だけではその要求に応えられず、増殖スピードが鈍ることも考えられます。

 ということは、倍々に増えていくとはいえ、時間的な尺度からすると1回の分裂に要する期間(細胞周期)は10日よりも少しだけ短いのではないかと推定できます。(私の連れの症例を考えた素人判断です)

 つまり1週間ぐらいの細胞周期なら、10ヶ月間まともに分裂して増えていけば本来なら10億個を越してしまいますが、その間にアポトーシスや免疫機能、更には栄養補給問題といった点で減衰することを考えると、ちょうど良いぐらいの期間になるのかなと思えるわけです。


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