前ページの表の反応をまとめると、
(ブドウ糖)+(水)+(酸素)→(エネルギー)+(二酸化炭素)+(水)+(活性酸素?)
という反応式が成立します。この内ブドウ糖からピルビン酸までの反応が細胞内の核やミトコンドリア以外の細胞質基質で行われ、それ以降の反応がミトコンドリア内で行われていると言うことです。
この時、ガン細胞は解糖系の反応を重視し、クエン酸回路や電子伝達系の反応を抑制している、というのがここまでのまとめです。
そこで、今度はそれを逆手にとって、だったらガン細胞が嫌がるような事を強制的に行えば、ガン細胞の細胞死(アポトーシス)を引き起こすことが出来るのではないだろうか、と考えるわけです。
ではどうすればよいのか?要するにガン細胞が使っている解糖系のはたらきを抑制し、水素伝達系のはたらきを回復させればいいわけです。しかし言葉で書けば簡単ですが、具体的にはどうするかという部分が難しいです。
両者の大きな違いは、
@ 時間的に解糖系が先に来る
A 水素伝達系は酸素を必要とする
ということです。
従って例えば極端な話、ブドウ糖を摂取しなければ(断食とかをすれば)ガン細胞は増殖できないわけです。ただしこれは正常な細胞にも影響を及ぼしますから、ガン細胞よりも正常細胞の方が先に参ってしまう可能性があります。(ただしブドウ糖消費量はガン細胞の方が大きいと思うので、一定の効果もあるかもしれません)
であるなら、ブドウ糖は摂取しないで、その部分を飛び越して、ピルビン酸という物質そのものを点滴等で与えれば良いのかなとも思えます。(もちろん私の個人的な素人考えで裏付けはまったくありませんので注意してください)
もし解糖系がエネルギーを産み出すだけの働きしかしておらず、ピルビン酸を栄養物として点滴等の方法で体内に入れることが出来、ピルビン酸だけで生命が維持できるなら、この方法はガン細胞に取っては致命的な物になりそうです。
ただしネット等で調べても、ピルビン酸療法がガンに効く、という記述は見られません。(ミトコンドリアの機能に異常が見られる方への治療ではこのような方法があるみたいです)
また、アメリカではサプリメントの一つとしてピルビン酸ダイエットというのが提唱されているようです。内容については調べていません。
というわけで解糖系を単純に抑制するのは難しそうですから、次に考えられるのは電子伝達系を元気にする方法がないか、ということです。
ただガン細胞がこの電子伝達系の働きを抑制していると考えると、どうやって抑制しているのかを解明しないと、簡単には活性化しないと思います。
ネットでは電子伝達系の反応を促進させるために「酸素供給を増やせばいい」というような記述も見られましたが、通常の状態で酸素は供給されているにも拘わらず電子伝達系の働きが抑制されているわけですから、無闇に酸素を増やしても効果は表れないような気もします。
しかし酸素供給量が通常より減った状態なら、事態が悪化することは確実ですので、その部分だけを考えれば、民間療法的に考えて
@ 深呼吸
A 運動
B 血流の正常化(ドロドロ血液の解消、血圧を下げる、貧血治療)
C 冷えの解消
D ストレスの解消
E 食事の工夫
等が必要かもしれません。
その他どんなことが考えられるかというと、実際にそのような方法が可能なのかどうか知りませんが、正常細胞のミトコンドリアをガン細胞内に移植するなんてことも考えられるような気がします。
なおこのページを書くに当たって、いろいろな情報をネットで調べていましたが、その中で「コエンザイムQ10」という物質が、電子伝達系で重要な働きを持っている補酵素の一つであると書かれていて、これは実際にサプリメントとして発売されているみたいですね。これについても調べてみる必要性を感じました。