前ページからの流れで、細胞は何が原因で低酸素状態になるのかということを考えています。この時考えたのは、またしてもどちらが先かということなのですが、要するに
@ 何らかの原因でDNAが損傷 → ガン細胞が出来た → 少しずつ増殖して塊になった → 中心部に血液が届かず低酸素状態になった → 増殖した
という考え方と
A 何らかの原因(炎症等?)で組織の一部が低酸素状態になった → そこにたまたま何らかの原因でDNAが損傷したガン細胞があった(または出来た) → 低酸素状態だったので増殖した
要するにガン細胞の増殖が先か、低酸素状態になったのが先かということなのですが、少なくともガンの最初の細胞は放射線や薬物、分裂の際のDNAの単なるミスコピー等で生じる事は間違いないようですから、どちらもあり得るなとは思います。(悪性リンパ腫では、炎症から生じたという説もあります)
そこでもう少し原理的なことを調べてみました。それは何かと言うと、そもそも細胞は毛細血管からどのように酸素を得ているか、という構造というか方法の問題です。そのメカニズムが分かれば低酸素状態になる理由も分かるかもしれないなと考えました。
で、先ず毛細血管についてその構造を調べてみました。毛細血管と言えども人体中の組織ですから、細胞で出来ています。この細胞が平面上に集まって、ぐるっと回って管になっていると考えて良いと思います。
この太さは、最も細い部分では5μm(ミクロンまたはマイクロメートル)と書かれていますから、これは0.005mmということになります。ちなみに私もそうですが、う〜んと細い毛髪の太さが50μmぐらいみたいなので、その10分の1です。(それが管になっているというのですから驚異的です)
一方酸素を運搬する赤血球の大きさは、なんと8μmだということで、毛細血管まで行くと基本的には引っ掛かってしまいます。ところが、この時ドーナッツ状の形が変形して毛細血管中も通り抜けていきます。
余談ですがそうゆうイメージが頭の中に出来てくると、なんかあちこちで血管が詰まってしまうような不安を覚えます。私自身は高血圧なのですが、サラサラ血液の重要性が分かるような気がします。
話を戻して、赤血球はその中にヘモグロビンという物質を持っていて、赤血球周辺で酸素濃度が高いところでは酸素と結合し、濃度が低いところでは酸素を手放す、という便利な性質を持っています。
その結果肺の中の肺胞と言うところで、このヘモグロビンは酸素と結合し、心臓に入り、ポンプ作用で動脈の流れとして体全体に送り出されます。
送り出された血液は、やがて毛細血管に到着。毛細血管の管もまた細胞で出来ているのですが、どうやら細胞と細胞の間には隙間があり、その外側には組織液という、細胞外に存在する液体があります。
この組織液中の酸素濃度が低いと、そこで赤血球は酸素を手放し、代わりに組織液中に溶けていた二酸化炭素が血管内に浸透し、血しょう(血液の血球を除いた液体成分)に溶けます。
組織液中に溶け込んだ酸素(気体として存在していません。酸素は水に少し溶けます。だから魚は水中の酸素をエラで濾し取って利用できるわけです)は、すぐ近くに存在する細胞に達し、今度は細胞膜(細胞の一番外側の膜)を通過して細胞内に入ります。
この時通常細胞Aの裏側(という表現が正しいかどうか分かりませんが)にガン細胞があったとすると、このガン細胞への酸素の供給は細胞Aに邪魔され、低酸素状態になる可能性がある、と思えます。
−−−−−−−−−−−−−−−−− 毛細血管壁
○○ ○ ○ ○○ → ○○ ○ ○○ 赤血球(赤が動脈中の赤血球、青が静脈)
−−−−−−−−−−−−−−−−− 毛細血管壁
組織液 組織液 組織液 組織液
□□□□□□□□□□□□□□□□ 細胞A
■■■■■■■■ ガン細胞
といった感じでしょうか。もう少しうまく書ければいいのですが、残念です。ただこういった物理的な構造により低酸素状態になることがあり得るとは思えます。