自己と非自己の区別

 免疫という現象を理解するためには、「抗原」という言葉を理解しないといけないと言うことが分かってきました。そこで抗原とは何かと言うことになるわけですが、一般的には細菌やウイルス、更には本来の自分の体に必要のない有害な?化学物質が該当します。

 (身近な例でで言えば、私の場合ダニや花粉で喘息が起き、よく分かりませんが何かを食べたときにアトピーが起きることがあります。これらを一般的に「抗原」と呼ぶわけです。

 しかし実際の定義では、「何か」が体内に入ってきたとき、それに対して前ページの「体液性免疫」や「細胞性免疫」といった反応が起き、その反応によって新たに生じた物質を「抗体」と呼び、この抗体が実際に体内に入ってきた物質と反応、結合したとき、「抗体」と結合した物質を「抗原」といいます。

 つまり俗に言う「抗原抗体反応」が起きたとき、最初に入ってきた異物を「抗原」、それに対抗して作り出された物質を「抗体」というわけです。

 従って「抗原」らしき物が体内に入ってきても、免疫反応が起きない場合もあるわけで、その場合は「抗体」が作られず、抗原抗体反応も起きません。その時に体内に入ってきた異物を「抗原」と呼んで良いものかどうか、私にはよく分かりせん。

 またその場合、「抗原」らしきものは将来どうなるのか?ということも気になります。文字通り解釈すれば、抗体が出来ない訳ですから、その抗原らしきものが自己増殖を初めても、それを止める手だては免疫反応では不可能であるという結論になります。

 クドクドと書いていますが、その理由は、この「抗原」らしきものが「ガン細胞」であった場合どうなるのか、ということが気になるからです。

 もともと細菌やウイルス、化学物質といったものは外部から取りこまれたということが、なんとなくはっきりしています。

 しかし例えばインフルエンザに感染したとき、大脳では誰かからうつされたと判断するかもしれませんが、その判断によって免疫反応が起きるのではなく、ウイルスが体内に入った瞬間に、それが外部からの有害な侵入物であると何かが判定しているわけです。

 この機能は大変優秀な機能のようで、我々がいちいち意識的に判断しなくても、いわゆる免疫反応が自動的に判定しているわけです。

 で問題は、どうやって判定しているのかということです。なぜこのことにこだわるのかと言えば、ガン細胞は外部からガン細胞が飛んできて、特定地点に付着して増殖を始めるというような細胞ではなく、自分自身が持っている細胞が変異したものが原型になっているからです。

 つまりインフルエンザ等のウイルスなら、すぐにこれは外部からの有害な侵入者であるという判定が下され、防衛反応(免疫反応)が起動するはずですが、自分自身の細胞はすでに体内に持っていた物ですから、基本的にはそれを有害な侵入者であると判定は出来ないと言うことです。

 と言うことはガン細胞の増殖に関しては、免疫系の働きはひじょうに弱々しい物だと言うことになります。しかし一方で日々何千個も生まれるガン細胞はこの免疫によって駆逐されていると様々な本に書かれています。

 ではどうやって自分の体内から生まれたガン細胞が有害な物であると判定しているのか。自分と自分ではない区別はどうやって行っているのか、この辺から考えてみようかと思います。

 ちなみにこの論法を推し進めていくと、敏感なセンサーを体内に構築できれば、ガン細胞をすぐに発見できると言うことになります。つまりセンサーの感度を上げる方法ですね。

 そのためにはセンサーとなっているB細胞やT細胞を活性化すればいいわけですが、悪性リンパ腫の場合は、これらの細胞に異常が生じるわけで、センサーを鋭敏にするのは難しいなと感じています。


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