ガン細胞と免疫の力関係

 ガン細胞が異質な物(非自己)であるかどうかを判別出来るかどうかが、免役によるガン細胞駆逐の最初の関門であることが分かってきました。

 一方細胞膜表面のタンパク質の構造は一人一人がまったく別の構造をしているため、これによって免疫細胞が、自己と非自己を区別するわけですから、ここだけに注目すれば話は簡単なようにも思えます。

 つまり、この細胞膜表面の構造が、自分の細胞から生まれた物であっても、ガン細胞となったことにより違った構造を持つようになれば、免疫細胞はそれを非自己と判断できるわけです。

 しかし無限とも言える増殖機能を獲得しつつも、細胞膜表面のタンパク質が自己と同じ物であれば、免疫系はそれを自分の細胞と見なして攻撃はしません。

 さらにガン細胞自体が忍者のように、自分自身の特性を覆い隠す性質を持つこともあるという記述もネットで見られました。

 しかもストレス等で免疫系事態が弱体化している人もいれば、冷え等で血行が悪くなっている場合もあり、そうなるといくら非自己のガン細胞が存在しても、それを感知、駆逐できないことも考えられます。

 そうやって考えると、事態はひじょうに複雑になり、どうゆう場合に免疫系が働き、どうゆう場合に無力なのかということを、もう少し整理して考える必要があるなと思うようになりました。つまりガン細胞と免疫の力関係です。

 そこで自分なりに理解したことをまとめてみると以下のようになりました。先ず一般的なガン細胞からです。

@ ガン細胞に変異したときに、同時に細胞膜表面に異質なタンパク質があらわれた

A 異質なタンパク質があらわれたものの、それをカモフラージュするような特性を持った

B 異質か同質か、単純には判定できないような微妙な差しか生じなかった

C Bのガン細胞が、さらにそれをカモフラージュする特性を持った

D 異質なタンパク質はあらわれず、単に無限の増殖作用だけを獲得した

というような、五段階のレベルが考えられるかなと思えます。ただカモフラージュ云々はもしかしたら言葉の綾で、実際には@BDの三段階しかなく、カモフラージュというのはBに含まれると考えても良いような気がします。

 当然ながら、@からDに進むにつれ、ガンの悪性度が高いということになります。

 これに対して、ガン細胞を迎え撃つ免疫系の方ですが、これらのガン細胞を駆逐するための条件は

1.免疫細胞の数や種類が多い

2.ガン細胞周辺の免疫細胞の密度が高い

3.免疫細胞の、異質な細胞に対する感度がよい

4.ガン細胞を発見したときの駆逐率(細胞死への誘導等)が大きい(免疫細胞が活発に反応)

5.免疫細胞を速やかに集められるような、血行の流れがある

というような条件があって、これらの力関係によって、免疫系の活性化による治療がうまくいくかどうかが決まるように思われます。

 図書館等やネットの情報では、単に免疫を活性化すれば効果があるとか、リンパ球を増やせば良いというような記述も見られますが、突き詰めて考えると、特にガン細胞がDのような性質を持っている場合、免疫系の働きだけでは増殖の勢いを止めることが出来ないという残念な結果が予想できます。


表紙に戻る 免役について 免疫系の抑制効果