発病後のガン細胞に
免疫療法は効果があるのか

 ガン細胞の表面に本来の自分が持っているタンパク質とは違う異質なタンパク質があらわれるかどうかが、免疫を主体とした治療(免疫療法)の一つのポイントになりそうなことが分かりました。

 しかし個々の細胞のタンパク質がどのような物であり、自分本来の物と違うと言うことを確かめる方法があるのかどうか、私にはよく分かりません。(抗原にCDいくつかという数字がついていますが、これが該当するのかなと思っています)

 ただガンのかたまりが出来てしまったという結論だけを考えれば、そのガンのかたまりに含まれるおおもとのガン細胞は、免疫系の目を逃れて増殖が出来たわけですから、それまでと同じ免疫系をいくら増やしても、ガン細胞に対する効果は少ないように思います。

 一方、ガンの予防という意味で、異質のタンパク質を持ったガン細胞に対する攻撃力を考えれば、免疫の強化ということは大きな予防効果が期待できるということにはなると思います。

 逆に言うと、ストレス等で免疫系が弱って、例えば風邪をひきやすい体質になったなあと感じる頃は、ガン細胞にとって増殖の好機なのかも知れません。

 従って日頃から免疫系を鍛える?事が大事だという論法になるわけですが、例えそうであっても、ただいたずらにリンパ球を増やせばいいと言うものでもない気がします。

 何回も書いているように、いくらたくさんリンパ球があっても、それが異質なタンパク質を持つガン細胞の近くに存在し、異質な細胞を異質であるととらえるセンサーがしっかりして、なおかつ発見時に充分な攻撃力がないと意味がないわけです。

 そのためには、少なくともリンパ球がガン細胞近くに存在しなくてはいけないはずで、それを実現するためにも血流が常日頃から全身に隈無く流れていないといけない、ということになりそうです。

 次に、ではいったん免疫系をすり抜けたガン細胞が増殖を始めたら、免疫系は本当に無力なのか、ということを考えると、無秩序に増殖するようなガン細胞は、増殖後に出来るガン細胞も無秩序ではないかと思われます。

 つまり表面にあらわれるタンパク質も、あるものは正常な物とほとんど変わらず、またある物はまったく異質のタンパク質が出来てしまう、と言う混沌とした状態が起きるような気もします。

 (このあたり私の想像で書いていますが、正常細胞のようにまったく元の細胞と同じものが生まれるのではなく、どこかが変形した細胞も生まれるのではないかと言うことです))

 だとするなら、そこに正常な血流があり、多数のリンパ球が次々と異質なタンパク質をもつガン細胞の近くに供給されれば、免疫の働きにより、これらのガン細胞は破壊される可能性もあります。

 ということは、いったん免疫系の目を逃れたガン細胞であっても、その増殖過程で異質のタンパク質を持つガン細胞が生まれれば、それらは免疫系により破壊されることになりますから、増殖の勢いを減らすことは出来そうな気もします。

 以上をまとめると、予防と発生後の二段階に分けて考える必要がありそうですが、このサイトの主旨は発生後を扱っていますから、後段の部分が該当します。

 すなわち発生直後に免疫細胞の監視をくぐり抜けたガン細胞であっても、その後の増殖過程で表面に異質なタンパク質があらわれる可能性は否定できないはずで、その場合その付近に正常な血液の流れが確保され、元気いっぱいのリンパ球が豊富に供給されれば、増殖に対してある程度の抑制効果が得られるのではないかというのが、ここまでの私の結論です。 


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