前ページまでの話で、免疫系のはたらきはガン細胞の増殖抑制に効果がありそうだということが分かりました。と言うことは免疫系を強化すれば良い、と言う結論になります。
そのために運動をして、良質の食事を摂り、睡眠時間を確保して、ストレスを減らす、というのが一般的な話の展開になるのだと思いますが、実はそんな単純な物ではないのでは、という気がしてきました。
というのも前ページの内容をあらためて読み直してみて思ったことなのですが、「免疫系を強化すれば」と簡単に書いていますし、ネットでもほとんどのページに「免疫系の強化によって病気が治る」という結論を提示して、そのためにこうする、と言う方法論が書かれています。
しかしここで私自身が書いていることですが、ふと疑問に思ったことがあります。それは免疫系を強化するという行為は、体内のリンパ球にどのような変化が起きるのかが曖昧だということです。
免疫系の強化、というのはいかにも説得力のありそうな語句ですが、では具体的に何が変わるのか、実は自分でもよく分かっていないことに気がつきました。
そこでこれまでの話でなんとなくイメージしていたことを改めて、免疫がはたらくという、その作用段階に従って考え直してみると、免役力があるというのは、白血球やリンパ球の
@ 数が多い
A 患部における密度が高い
B 異物に対する認識力が鋭敏
C 異物に対する反応が迅速
D 異物に対する解析力が強い
E リンパ球同士の相互連携が強い
F 異物に対する攻撃力が強い
G 攻撃後の分解力が強い
という、いろいろな段階があるように思えるわけです。この中で、運動や食事、睡眠、ストレス解消といった一般的な方法で改善されるのはいったいどの部分なんだろうか、ということを考えています。
具体的に言うと、例えば良質の食事をすると、@からGのどれがより強化されるのかがよく分からないと言うことです。
例えばインフルエンザで予防接種をします。これはインフルエンザに罹らないようにするためのものではなく、罹ったとしてもその症状が軽微になるように、あらかじめ活性化していないウイルスを体内に入れ、それに対する抗体を作っておくわけです。
この場合は、迎え撃つ敵の種類があらかじめ見当がついているので、それに対する迎撃態勢(抗体)を整えておいて、被害を最小限にする、という発想だと思います。
しかしガン細胞の場合、相手の特徴が発生するまで分からない、と言うことが一つのポイントになるような気がします。
つまり相手がガン細胞の場合は、単にリンパ球を増やせばいい、という単純な物でなく(実際リンパ球をいくら増やしてもガン細胞を探知(認識)できなければ、まったく意味がないことになります)、本来的に鍛えなければいけない部分は(鍛えられればの話ですが)、異物認識能力に磨きをかける、と言うことなのかなと思えるようになってきました。
そう考えると巷で言われている、リンパ球を増やせば、免疫力が上がるという宣伝?にちょっと胡散臭いものを感じてしまいます。