異物を認識する細胞とは

 ガン細胞を異物として認識できるかどうかが、免疫系が働く大きな分岐点になるという流れです。いったん異物として認識されれば、あとは免疫の自然な流れで進むような気もします。

 そこで、では免疫系の中の何がガン細胞を異物として認識する能力を持っているのか、と言う話になります。この認識過程を調べてみると、私が調べた範囲では、どうやらまず最初に大きく二つに分かれるようです。

 一つはNK細胞(ナチュラルキラー細胞)というもので、これは体内を循環している細胞で、ガン細胞を見つけてそれを異物と認識できれば、直接攻撃する細胞です。ある意味一番頼りになる細胞かもしれません。(だからこれを増やせばよい、という治療法も提唱されています)

 もう一つが造血幹細胞から様々な血球が作られる過程で出来る単球という細胞がありますが、これらはさらに分化して「マクロファージ」や「樹状細胞」と呼ばれる捕食細胞(他の細胞を取りこんで、その内容を分析する細胞)になります。

 つまりこれらの細胞にガン細胞が取りこまれると、そのガン細胞の情報が得られるというわけです。次にこれらのマクロファージや樹状細胞は、その情報をヘルパーT細胞というリンパ球に渡します。

 するとこのヘルパーT細胞がキラーT細胞を活性化させ、このキラーT細胞がガン細胞を攻撃する、という流れのようです。

 つまりガン細胞を異物として最初に認識する細胞は、NK細胞、マクロファージ、樹状細胞の三つです。どうして三種類もあるのかと言うことも気になりますが、これはそれぞれの細胞が認識しやすい相手がある、ということのようです。

 「三人寄れば文殊の知恵」という言葉がありますが、要するに一つの細胞を三つの視点から眺めて、それが異物であるかそうでないかを見極めていると考えれば良さそうです。

 そうなってくると、今度はこれら三つの細胞の異物認識能力が高ければ(鋭敏にすれば)、ガン細胞の認識力も高くなると言うことになり、「免疫力を高める」というのは、この三つの認識力を高めると言うことになります。

 しかしではどうやって高めるのか、と言うのが問題ですね。ただ単に数を増やせばいいものではないことは確かです。認識力が乏しい細胞をいくら増やしても、単に混雑するだけで、肝心のガン細胞は見逃してしまうことになります。

 知識の乏しい警察官をいくら増やしても犯人はつかまらない、ということです。ではどうするか。まだ私の頭の中で次の展開が見えてこないのですが、知識が乏しければ教育するしかないなと思えます。

 つまりこれらの細胞がどこでどのように作られているのか、という製造過程を改めて見直し、さらにその製造過程のどの部分で異物認識能力を獲得していくのか、と言うことが分かれば、その部分を強化すればいい、と言うことになります。

 しかしどんどん難しくなりますね。ネット上にこういった内容の記述が溢れていることはよく分かっていますが、その多くは専門用語を多用しているので、専門家の皆さん同士では理解できるのかもしれませんが、高校の生物学程度の私の知識ではかなり苦しいなと感じています。


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