単純に白血球数を増やしても、生体にとってはあまり意味をなさないのではないかというのが前ページの私なりの結論でした。そこで次に「白血球分画」について考えてみたいと思います。
それにしても、どうして「分画」などという難しい、普段の生活では絶対に使わないような語句を使うのか、わざと難しい言葉を使用して、患者さんを煙に巻こうとしているのではないかと思えるような用語だと感じます。
今手元にある漢和辞典を見てみたのですが、そこにもこの熟語は出ていませんでした。ネットで調べるとさすがに出ています。意味は
@ 分割して分けること。分けたそれぞれの区画
A 混合物を構成する成分に分けること
ということで、要するに血液中の成分を分けることを意味しています。さらに医療現場では「白血球分画」という用語が良く使用されます。つまり白血球をその成分毎に分ける、ということを意味しているわけです。
ではその成分は何かと言えば、すでに散々書いていますが、好酸球、好中球、好塩基球、リンパ球、単球という5つの分類になります。
重要なことは、血液中にこれら5種類の白血球関係の血球が存在しているわけですが、その成分比がほぼ一定であると言うことです。
つまり外敵や異物に対して、体を防御機構(免疫系)で守っているわけですが、普段はその防衛隊の理想的な構成比率が決まっていて、後は実際の闘いに応じて成分比が変化するというわけです。
つまり歩兵隊、槍隊、弓矢隊、騎馬隊、補給隊というような防護陣の構成比率が、だいたいどんな闘いでも準備段階ではほぼ似たような値をとるのと同じかなと思えます。
では実際のその構成比はどのくらいかというのを、成分比率の多い順に並べると、私が持っている大学病院の資料では
血球 | 最小% | 最大% |
好中球 | 40.3 | 71.7 |
リンパ球 | 20.9 | 50.5 |
単球 | 2.4 | 7.6 |
好酸球 | 0 | 7.8 |
好塩基球 | 0 | 1.2 |
だそうです。結構幅があります。これらの数値内なら良いわけですが、どうやってこの数値が得られたのかは現時点ではよく分かりません。
ですから、白血球数を増やすというような治療があったとすると、その場合正常な人ならば、これらの血球のすべてが同じ割合で増えると言うことになりそうです。
しかし敵がほとんど居ないのに、免疫力強化と称していたずらに増やしても、生産能力が疲弊するだけで何の意味もないということになります。
従って、数を増やすと言うことより、このバランスを大事にする方が免疫力にとってはより大切だと思えます。つまりどんな敵があらわれるにせよ、その敵に対して理想的な即応体制がすぐに整えられる体制を普段から維持することが大事だということです。
ただし抗ガン剤等の化学療法を行っている場合は、この数値はかなり上下します。私の連れの場合がそうでした。従ってそういった治療が行われていないとき、またはそういった治療の影響がないとき、それぞれの血球の分布を見て、バランスが崩れているかどうかを判断するのが重要だと思われます。
しかしバランスが崩れている状態があったとき、例えば運動をしたり、食事の改善を行ったり、睡眠時間を確保したり、ストレスを解消したりすることが、このバランスを調整することになるのかどうかは、現時点では不明です。
免疫力を高めることはバランスの維持だと言うことは分かってきましたが、ではどうやったらバランスが維持できるのかというのが次の課題になりそうです。
なお私の過去の血液検査結果を今見てみたら、恒常的に好酸球の数値が高くて8から10ぐらいあります。気になって調べてみたら、好酸球の数値が大きい場合はアレルギー疾患が考えられるとネットで書いてあり、喘息やアトピー持ちの私は「なるほどな」と納得してしましました。