睡眠と免疫力

 睡眠とはいったいどんな状態なのか。私はどちらかというと長時間睡眠派で若いときから9時間ぐらい寝ていました。一時期受験を控えて勉強しようと一大決心をして、そのためには睡眠時間を減らそう(遊ぶ時間を減らせばいいのに)と考えて7時間睡眠を続けたことがあります。

 結果は数日であらわれました。先ず鼻水症状、そして体のだるさ、さらに私は理系ですが、計算力が極端に落ちるという散々な結果となり、結局自分は短時間睡眠は向いていないんだという結論を得ました。以来最低8時間は確保していますが、60歳近くになった今は、さすがに7時間半ぐらいで目が醒めることも多くなりました。

 話が逸れましたが、この人生の3分の1ぐらいの睡眠時間に、体の中で何が起きていて、それは免疫力とどのような関係があるのかと言うことを知っておくのは大事であると思います。

 ところで本題に入る前に思うことですが、犬や猫といったほ乳類や鳥類が寝ることは、ペットを見ていればよく分かります。では両生類のカエルは寝るのか?魚は?昆虫は?さらに日常生活でよく見かけるミミズやカタツムリなんてのは寝るのでしょうか?

 もっと言うと、単細胞生物の代表である「ゾウリムシ」や「アメーバ」は寝るのか。細菌やウイルスはどうか、とまあ個人的な睡眠に関する興味はかなりあります。

 睡眠そのものについては、「寝ている」と言うことが分かる動物は、神経系特に脳が良く発達している生物です。つまり睡眠は脳に対してかなり大きな影響があり、脳を休める時間が必要だと言うことを意味しているように思えます。

 では脳や神経系の発達していない生物は睡眠を必要とするのか?人間はまぶたがあるので眠っているときとそうでないときがはっきり分かりますが、まぶたのない魚類や、そもそも目がない動物は眠っているかどうかを判別するのも難しいような気がします。

 それでも魚の様子をじっと見ていると、活発に動いて餌を追いかける時間と、じっと一カ所にとどまっている時間がありますから、やはり寝ているんだろうなと思えます。
 
 しかし泳いでいないと命に関わるようなマグロ等は、眠っている暇がないか、寝ながら泳いでいるか、と言うことになりそうです。

 そうなってくると、「寝る」という言葉と「休息」という言葉の違いをきちんと定義する必要があるのかなとも思えます。つまり「寝る」という行為はどちらかというと脳や神経系を休ませる働きであり、「休息」というのは筋肉等の働きを休ませると言うことなのかなと思えます。

 ということでようやく本題の睡眠と免疫力ですが、睡眠という言葉の定義が脳や神経系の休息を意味するなら、そのことと免疫系がどのように関わるのかと言うことを明らかにしないと、単純によく眠れば免疫力が回復するとは言えないような気がします。

 そこで「睡眠」という語句をウィキペディアで調べてみると、定義としては「からだの動きが止まり、外的刺激に対する反応が低下して意識も失われているが、簡単に目覚める状態」と言うことになるようです。

 そして睡眠の目的は「心身の休息、記憶の再構成など高次脳機能にも深く関わっている」ということのようで、これだけだと免疫力とはあまり関係なさそうにも思えます。

 また「子供の成長や創傷治癒、肌の新陳代謝」は睡眠中に促進されるという記述もあります。その他として「免疫力の向上やストレスの除去などがあるが、完全に解明されていない部分も多い」ということで、睡眠=免疫力という単純な公式は成立しないようです。

 ただ睡眠時間が少ない状態が続くと、体に不調が出てくることは確かですから、やはりどこかで免疫力と関係していると思わざるを得ません。


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