体に良い水のPH(水素イオン指数)

 しつこく体に良い水について調べています。前ページでは、体に良い水と言っても、その理由を見ると、どうも理論的根拠が乏しいように感じられると書きました。私自身もなんとなくまだ釈然としていません。つまり体に良い水はあるような気がするけれど、それがどんなものかがよく分からないということです。

 というわけで今日もネットの情報を見ているのですが、前ページの条件の中で比較的理論的と思われるのは

@ 汚染物質が含まれていない
A 弱アルカリ性である
B 酸化還元電位が低い

 そして前ページではもれてしまいましたが、C 硬度が大きい、という記述も良く見かけるように思えました。

 そこで先ず弱アルカリ性の水について調べて見ました。そもそもアルカリ性とは何かということですが、小学校や中学校の理科で習う内容で、溶液の性質を表しています。

 高校まで来ると、その違いは何かということで、酸性の溶液には水素イオンH+が多く含まれていて、アルカリ性の溶液には水酸化物イオンOH-が多く含まれているということを教えます。

 (イオンとは原子の周りに存在する電子の数が通常よりも多くなったり少なくなったりした物質のことで、多くなるとマイナスイオン、少ない場合はプラスイオンとなります)

 で水素イオンが多い溶液は酸性となり、逆に水酸化物イオンが少なくなります。水酸化物イオンが多い溶液はアルカリ性となり、水素イオンが少なくなります。

 この二つが同量存在すると、お互いの影響をちょうどうまく打ち消し合いますので、それを普通「中性」と呼んでいます。まとめると以下のように表すことが出来ます。

酸性 中性 アルカリ性
水素イオン 多い←←← 同量 →→少ない
水酸化物イオン 少ない←← 同量 →→→多い
PH 0 1 2 ・・・ ・・・12 13 14


 この時、酸性とアルカリ性の強さを表す数値として「PH」(ピーエイチ)という用語を使って、0〜14の数で表し、最も強い酸性を0、最も強いアルカリ性を14とします。そうするとちょうど中央に来る数値が7となります。従ってPH=7の溶液は中性である、というように言い換えることが出来ます。

 では実際に我々の日常生活の中で、酸性やアルカリ性の物質にどんなものがあるかというと

梅干し:1.5、レモン:2.2、酢:2.5、リンゴ:3.0、炭酸飲料:4.5、中性洗剤:7、石けん水:約10となっています。また人間に関係する体液の場合は、血液:7.4前後、尿:4.8〜7.5、便:5.9〜8.5だそうです。

 食べ物についてはアルカリ性のものは少ないと言えそうです。しかし見かけは酸性でも胃の中に入って消化していく過程でアルカリ性になるようなポカリスエット等のいわゆるアルカリ飲料もあります。

 それはそれとして、体液の要である血液のPHは7.4前後ですから弱いアルカリ性ということになり、だから飲み水も弱いアルカリ性がよい、と説明しているサイトが多いです。

 また我々の祖先が進化の過程で海の中にいたと考えると、海水のPHがやはり8.3ぐらいの弱アルカリ性なので、それをもってして弱アルカリ性の水は体によい、としているサイトも複数ありました。

 さらにその考えを推し進めて、人間の汚染が影響していないような深海の水から塩分等を除去すれば、それが大変体に良い飲物になる可能性があると考えて売り出されているのが、最近よく名前を聞く「海洋深層水」だと思います。

 しかしこれについてはまた別のページで考察してみたいと思います。

 いずれにしても、弱アルカリ性の水が体に良い、と言う根拠は

@ 血液のPH
A 海水のPH

の二つがいずれも弱アルカリ性である、ということだと思います。しかし飲料水のPHと血液のPHまたは海水のPHが一致したから、それが体によい水だ、としてしまうのは論理の飛躍であるような気がします。

 この点についてまたまた調べてみると、意見は真っ二つ。

@ 体には恒常性が備わっているから、あえてアルカリ食品やアルカリ飲料を摂取しなくても、血液のPHは自動的に弱アルカリ性に調整される。

A 血液が弱アルカリ性だから、アルカリ食品を食べた方が健康に良い。

 どちらが正しいのか?私には@のように思えます。だとすると良い水の条件は、通常の水道の水が基準値としているPH6〜8.5の間にあれば良いのかなと思えますので、この考えだとあえて弱アルカリ性を強調するミネラルウォーターは必要ないことになります。


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