ミネラルウォーターは硬度が大きい。しかし日本の水道水は軟水で硬度が小さい。だからミネラルウォーターの方が体に良いと書かれたサイトがいくつかありました。
それが正しいのかどうか、先ず硬度の定義から調べてみました。例によってウィキペディアを見ています。
すると先ず予備知識が必要であることが分かりましたので、最初に説明します。例えば1L(リットル)の水はだいたい1kgです。(温度によって若干体積が変わるので「だいたい」という表現を使っています)
この時この水に塩や砂糖を10g混ぜます。全体の重さは何gになりますか。という問題があったとします。さてどうでしょうか?
物質を水に溶かすと、溶けた物質は目に見えなくなってしまうことが多いです。従ってその重さもなくなる、と考えてしまうかもしれませんが、例えば塩水を作ったとしてその溶液をなめれば、当然しょっぱく感じられ、塩が含まれていると判断できます。
従って1000gの水に10gの物質を溶かせば、それが目で見えようが見えまいが、基本的に重さは1010gになります。要するに不純物を含んだ水溶液は、同じ体積の水に較べて重くなるということです。
と言うことを理解した上で「硬度」の定義を書くと、同じ体積の水と比較して、水の中にミネラル分がどのくらい含まれているかを比較して表した数値と言うことです。ウィキペディアには計算式も書かれていますが省略します。
ただこの硬度を表す元になっている物質は、炭酸カルシウム:CaCO3と炭酸マグネシウム:MgCO3と言う二つの物質がどのくらい溶けているかで表しているようです。
もっと簡単に言うと、水の中に、ミネラル成分としてカルシウムイオンとマグネシウムイオンがどのくらい入っているかと言うことを表す数値だということです。
この硬度の数値が低ければ軟水、高ければ硬水となるようですが、数値の大きさでだいたい以下のように分類されています。(ウィキペディアを参考にしています)
種類 | 硬度 | 例 |
軟水 | 0〜60 | 日本の水道水、ボルヴィック、クリスタルガイザー |
中硬水 | 60〜120 | 六甲のおいしい水 |
硬水 | 120〜180 | ヨーロッパの水 |
非常な硬水 | 180以上 | エビアン、ヴィッテル等 |
ちなみに日本で販売されている、国内産のミネラルウォーターのほとんどは、硬度が100以下でした。また日本各地の水道水の硬度もだいたい100以下のようです。
またもともと日本人は軟水の水を飲みつけているせいか、硬度が大きい水は「まずい」と感じるようです。
余談ですが、和食には軟水、洋食には硬水が合っているみたいです。であるならば、そもそもイタリアやフランスの料理を日本で作るとき、日本の水道の水を使って作るのは、味付けが難しいということなのかもしれません。
反対にヨーロッパで和食レストランを開業するときは、水についても気をつけないといけないと言うことのようです。
というわけで、ここまで読まれた方は「あれっ?」と思ったかもしれません。実は私も思いました。
と言うのも、ミネラルウォーターは水道水に較べて硬度が大きい。従ってミネラルが豊富に含まれているので体に良い、という記述があったと思うのですが、実際にはミネラルウォーターと水道水の硬度とほとんど変わらないということですから、含まれているミネラル分も大差ないと言うことになります。
ではヨーロッパの硬度の大きい水を飲めば体によいのか?これについても調べてみました。もし体に良ければエビアン水をがぶがぶ飲むことによって免疫力も上がりそうです。
しかし飲んでみると分かりますが、「あまり大量に飲めないな」という印象を持ちます。一口目はなんとなく爽やかを感じますが、徐々になんか違和感が出てきます。
その違和感は多量に含まれるミネラル成分の影響が大きいと思いますが、当然そういった多量のミネラル分を必要以上に吸収すれば、免疫力上昇を上回る弊害が出てきそうです。
実際ネットで調べてみると、多量の摂取では下痢をしやすくなると言う記述が多いです。実際に多量に飲んだことがないので、真偽は不明です。(便秘の人には良いのでしょうか?)
というわけで、硬度100と書かれたのものを選べば、その中にミネラル分は水道の2倍程度含まれていると思いますが、それだったら、普通の水道水を2倍飲めばよいということになりそうです。またその方が内臓特に腎臓への負担も軽いように思えます。
こうして考えてくると、硬度が高い → ミネラル分が多い → 健康に良い とは一概に言えないような気がします。
ただ個人的にミネラルウォーターが水道水より優れているかもと思えるのは、もちろんメーカーの姿勢にもよると思いますが、通常の水道水よりも深いところから、いわゆる人工的な化学物質が含まれていない水を取水し、それをさらに滅菌処理等をしているはずなので、水道水よりは人工的な添加物が少ない可能性があるということです。
私自身も好んで湧水を汲みに行きますが、これらの水は水道水よりも明らかに美味しく感じられます。
ただ衛生度は水道水より悪いかもしれません。ペットボトルの水は、水道水よりもおいしく、衛生状態も良い、という所に重点が置かれているんだと考えれば、それを買って飲むメリットはあると思います。
また美味しくて体に良いというイメージを持って飲めば、それがヒーリング効果を生み出し、免疫力を強化すると考えられないこともないなとは思えます。