天仙液

 健康食品の名称は、その元になった原料の動植物から取る場合と、成分の名称、そしてそれらとはまったく関係ないと思われるそれっぽい名称に分かれるように思います。

 この天仙液という名称は、最後の分類になるのかなと思われますが、天から授かった仙人とか仙境を意味するような溶液であるというニュアンスが感じられます。

 しかしそうなると、この名称だけではいったいどんなものなのかはさっぱり見当がつきません。というわけで例によって「天仙液」とは何か、主成分の名前と効能はどうなっているのかについて、調べてみました。

 すると検索順位第一番に「天仙液の公式webサイト」というページがありましたので、今このページを見ています。ここには「天仙液とは」というページがあって、そこには以下のような説明が書かれていました。


 天然漢方生薬だけの配合、処方による抗がん薬として、中国政府(中国国家衛生部=日本の厚生労働省に相当)が1988年にがんに対する高い治療効果を認め、漢方薬で初めて医薬品として認可された『複方天仙膠嚢(ふくほうてんせんこうのう)』(製品名「天仙丸」)を、最新科学技術によってさらに効果を高めて、液体に改良、進化した抗がん漢方薬(医薬品)です。


 これを読むと、この液体はどうやら抗ガン効果のある漢方薬として中国では認められているのかなと思えます。ただこのサイトを運営しているのは、トップページの一番下に小さく書かれていますが、「国際癌病康復協会日本支部」となっていて、この団体の本部は香港にあると書かれています。

 つまり日本で作られているページではなく、香港に本拠地を持つ天仙液の販売会社が作っているページだと思われます。従って販売会社が自社の製品の効能を宣伝するのは当たり前だという気持ちで、ページの内容を確認しました。

 次に漢方薬ということですから、その成分もはっきりしていると思うのですが、主成分を見てみると17種類の成分名が書かれていて、それぞれの効能も示されています。このくらいはっきり書かれると、「かなり効果がありそうだ」という印象はあります。

 その他のページも一応すべて見たつもりですが、臨床試験結果も出ています。利用した方の体験談も出ています。ただし上に書いたようにページそのものが販売会社の手によって作成されたものであると言うことを考慮すべきだと思います。

 またこのページでは具体的に製品の名前は出ていましたが、価格等は記載されていませんでした。

 さらに、この液体の扱いですが、アメリカ、台湾ではサプリメント、オーストラリア、香港、タイでは医薬品として扱われていますが、日本での定義は特になさそうで、海外の医薬品と言うことで扱われているようです。

 価格ですが、ざっと見て日本からは個人輸入になり、輸入代行業者に頼んで一ヶ月分の治療薬が15万前後でした。これを高いとみるか安いと見るかは人それぞれですし、命を金銭に置き換えることは出来ないと考える人もいると思います。

 そうなると、ではそれだけのお金をかけた効果があるのか無いのか、という話になるわけですが、ネット上でこの製品または類似品を手がけているサイトは手放しで「抗ガン効果がある」と書いていますが、いわゆる巷の一般的な体験談を拾い読みすると、「効果があったように感じる」、というものと「なかった」という感想に分けられました。

 また本当に効果があって、ホームページに書かれているような「世界のガン撲滅のために」というキャッチフレーズを信じるなら、価格はもっと安くても良いはずですし、さらに言うと最近話題になっている中国でのガン村の存在もあり得なかったのではと思います。

 私自身は上記の漢方薬の成分がきちんと配合され、それぞれの成分に示されているような効能があるとはっきりしているならば(まだ漢方薬については勉強していないので)、人によっては多少の効果があるのかもしれないと思います。

 しかし、正直なところこれまでも中国からは通常の食品であっても不可思議な添加物が加えられて輸入停止になったことが何回かありますので、ホームページに書かれた成分がそのままきちんとはいっているのかどうかとか、製造上の衛生状態や安全管理がどの程度なのかという点で不安を感じます。

 また実際に試した方は、ほぼ100%通常の抗ガン剤治療を受けている方の体験談であって、この天仙液のみで癌が縮退または消滅したという記述は、私が調べた範囲では見つかりませんでした。

 こう考えてくると、体験談を読みながら思ったのですが、いわゆる健康食品を利用したとき、その健康食品の服用がガンに対して効果があったと言うことを証明するのはひじょうに難しいなと感じました。

 また同様に何人かの方が指摘していましたが、効果がなかったと証明するのも難しいと思われます。これは一人の患者さんに対して、例えば抗ガン剤のみの治療、抗ガン剤+健康食品、健康食品のみの治療、何もしない、と言うような四つの対処法が考えられますが、これを同時に比較することは不可能ですから、結局常に結論は曖昧になります。

 しかも患者さん本人が主観として捉える場合と、それを側で支えている家族等が患者さんの容態を見て判断する場合では、また感じ方が違うと思います。

 さらに効果という言葉の定義が、ガンの進行が止まったのか、ガンが縮退したのか、ガンが消滅したのか、副作用の症状が軽くなったのか、と人によって考え方もバラバラです。

 ただ私自身はガンの発生に血行不良が関係するという考えでここまで来ていますので、その血行不良を改善する漢方薬や健康食品は存在すると思っています。従って、その観点から一つ一つの健康食品を確かめているわけですが、まだ「これだ」というものを見つけた気がしません。

 しかしもしそんなものが見つかっていたら、ガンの標準治療に採用されているだろうなとも思え、なんだか混沌とした世界だなと言うことが、改めて徐々に分かってきました。


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