ノニ

 ノニというのは植物です。ウィキペディアには「ヤエヤマアオキ属」の常緑小高木(高さ8〜10m)と書かれていますが、これだけではさっぱりイメージが湧きません。

 原産地はインドネシアのマルク諸島だそうです。といわれてもこれまたさっぱり場所が分からないので、手元にある地図を開いてみてみると、インドネシアの東側、スラウェシ島とニューギニアとの間にある小さな島々の事のようです。

 この地で生育した樹木の果実は、内部が空洞で海水面を漂い、太平洋の島々に拡がっていったようです。ノニの名前は、実はハワイ語であり、あるメーカーが一時期派手に健康食品として宣伝しているため、最近はこちらの方が名称としては一般的になっている側面もあります。

 私自身、ハワイが大好きで、これまで夏に20回近くハワイを訪れていますが、確かに一時期、ハワイの健康食品の代名詞として「ノニジュース」というのがガイドブック等で紹介されていました。しかし私の記憶する限りブームは一過性のものであって、今は名称のみが記憶に残っている状態です。

 ただノニの果実は東南アジアや太平洋諸島では健康維持、スタミナ増進、病気の予防等で利用されている背景は今でもあるとウィキペディアに書かれています。

 ではこのノニの主成分とはいったい何かということが問題なわけですが、ウィキペディアにはダムナカントール(アントラキノン類)、アルカロイド類、テルペン類、フラボノイド類、ビタミンC、カリウムというように書かれていますが、どれが有用成分なのかはよく分かりません。

 確かに健康食品としての効能としては「糖尿病」「高血圧」「免疫力強化」というような語句が並んでいるので、ガンに対しても有効と考えることは出来ると思いますが、その根拠となる成分は明示されていません。

 一方カリウムは確かに豊富に含まれているようで、過剰摂取によって高カリウム血症を引き起こしたという、健康を害する事例はあるみたいです。

 またノニそのものの果汁はそれほど美味しいものではないため、これをジュースとして販売しているメーカーは、他の果物の果汁を付け加えたりしているようですから、例え何らかの効果を感じたとしても、それがノニによるものなのか、添加された他の果汁や成分によるものなのかは分かりません。

 実際問題、上にも書いたように10数年前にほとんどハワイのガイドブックに「ノニジュース」が健康に良いというような広告が載っていたような記憶がありますが、今はほとんど見かけませんので、実際にそれを試してみて効果があったと感じた人はほとんどいなかったのだと思われます。

 というわけで、実態として一時期に較べるとほとんど話題に上らない健康食品ですから、その効能はその事から容易に推定できるように思われます。
 


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