メラトニン

 メラトニンとはいったいどんな物質か。いつものように、先ずウィキペディアで概要を調べてみました。基本的な内容ですが、生物の体内で見られる天然の化合物で、人間の場合脳の松果腺から分泌されるそうです。

 この物質の血中濃度は1日のサイクルで変化していて、昼は低く夜は高くなっています。つまり睡眠と関係していて、これが多ければ昼間でも眠いということになりそうです。そのためこれを逆に応用して、不眠治療や時差ボケ解消に使われているそうです。

 化学式はC13H16N2O2で分子量は約232。この分子量なら、血流に乗せて、各種の栄養分と同様に体のあちこちに運搬が可能だと思います。 

 作用ですが、いわゆる抗ガン作用という記述はウィキペディアにはありませんが、抗酸化物質という記述はあります。ガン細胞が生まれるとき、活性酸素が原因になっているという話を聞いたことがありますが、この活性酸素の働きを中和すると解釈すれば、抗ガン作用があると言えるような気もしますが、拡大解釈であるような気もします。

 また常用すると、本来は体内で作るはずの物質が、体外から供給されるため、体内での製造工程が弱くなり、摂取をやめたときに不眠等の症状が出る可能性があります。

 従って抗ガン作用とは関係ありませんが、睡眠を助けるまたは時差ボケ解消のために一時的に利用することはしょうがないにしても、基本的にはこの物質を精製する元になるトリプトファンという物質を含む食物を摂取した方がよいということになりそうです。

 ではトリプトファンとはどんな食物に含まれているのか。これはネットで検索すれば簡単に見つかります。ざっと見ると大豆食品、かつお等赤身の魚、肉類、乳製品だそうですから、これらを日常的に食べていれば、睡眠のサイクルも良くなるということです。

 なお、メラトニンが分泌される松果腺ですが、脳の中央、眼球の奥の方にあるそうで、もともとは外界を感知する目のような機能も持っていたようですが、進化の過程で徐々に退化したようです。

 しかし目のような機能を持っていたということから、この松果腺が昼夜の区別を感知し、睡眠のサイクルを制御していたため、それが今も働くのではないかと私は勝手に思ってしまいました。

 「心眼」と言うような語句もありますが、もしかしたらこの松果腺の働きのことを言っているのではと、ちょっと想像をたくましくしています。

 問題はメラトニンの抗ガン作用ですが、抗ガン効果があるという報告がある、抗ガン効果が期待されている、というような記述は確かに多く見られます。しかしこういった伝聞は、例えば日常的に食べている物に対しても、同じ語句を使えばあたかもその物質がガンに効くような印象を与えることが出来るわけです。

 つまり例えば「米には抗ガン効果があるという研究結果がある」とか「米の抗ガン効果が期待されている」というようにネットで書いてしまえば、それがあたかも信憑性を持つような記述となり、実際にどのような公的な研究があったのかは分からなくても、なんとなく正しいように思えてしまうところが怖いです。

 ただメラトニンに関しては「ガンサポート情報センター」というサイトで、複数の臨床試験で効果が示唆されるというような記述がありました。しかし「「健康食品」の安全性・有効性情報」というサイトでは、抗ガン作用についての記述はありませんでした。

 なおメラトニンはその作用もかなり強いみたいですから、自己判断での服用は避けた方がよいように思います。また悪性リンパ腫に関しては、使用を控えた方がよいと記述しているページもありました。


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