瞑想と免疫力

 前ページで血流についてはよく分からないと書きましたが、瞑想を行うときは深呼吸をするという立場をとると、もしかしたら体温は上がるのかもしれないと言うことに思い至りました。

 そもそも深呼吸をすると言うこと自体が、肺に多量の空気を取り入れ、普段は使わないような肺胞の隅々に空気を行き渡らせると言うことです。となれば、当然その中に酸素も通常より多く含まれることになります。

 その酸素が、副交感神経の働きにより穏やかに流れる血液中にしっかりと溶け込み、それが体の各部に運ばれていくというイメージが出来ます。

 また瞑想中は体に余計な力が入らないと言う状態ですから、体内の筋肉は基本的に弛緩ししていると思われます。そこへ血液内の赤血球に取りこまれた酸素が次々と運ばれてきます。

 筋肉は弛緩していますから、それらの酸素は筋肉を構成する細胞のすべてに、万遍なく循環していくと言うイメージを持つことが出来ます。

 ということは、筋肉細胞中に毛細血管を通して大量の酸素が供給されるわけで、その酸素は細胞内のミトコンドリアにどんどん取りこまれるはずです。

 その結果ミトコンドリアの活動が活発になり、酸素を使ってエネルギーが産み出され(解糖系 → クエン酸回路 → 水素伝達系という呼吸反応です)、その化学反応と共に体に有用な物質が産み出され、同時に体温の元になる熱も発生しますので、結果的に体温が上昇すると言う可能性は大きいと気がつきました。

 体温が上昇すれば、皮膚の温度も上がりますから、当然血管は拡張し、ますます血圧は下がるものの血管が拡張したことにより血液は流れやすくなりますから、結果的に血流は改善されると言う結論が導かれます。

 さらに言えば、体温が少し上昇するだけで、体内のあちらこちらで活躍している酵素も活発に活動するようになりますから(酵素の活性は体表温度で40度ぐらいでピークになります)、ますます物質代謝が促進されると言うことになりそうです。

 ここで言う物質代謝というのは、人が体内に取りこんだ食べ物や水の中から有用な成分をとりだし、体にとって有益な物質を再合成し、無益な物質を排出すると言う活動ですから、結果的には瞑想が物質代謝を促進することになります。

 ということは瞑想によって内臓のはたらきも良くなり、体全体に好循環が生まれ、さらに免疫細胞も増殖し免疫力が高まるという結論が得られそうです。

 ただこの前提となるのは、瞑想の方法そのものの熟練度も大きいように思います。つまり如何にたくさんの空気を肺に取り入れることが出来るか(深く呼吸できるか)、その空気中の酸素を効率よく赤血球が各組織に運搬できるか(肺機能)、その酸素をミトコンドリアがきちんと活用できるかといういくつかのステップがあるように思います。

 しかし、瞑想という方法に熟練すればするほど、こういった反応は起きやすくなるように思えるので、後は継続的に出来るかどうかと言う方法論の問題かもしれません。


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