どんな音楽にヒーリング効果があるのか


 肩が凝ると首を回したり、肩を上下させたり、肩を揉んだりすると思います。何らかの不快感を覚えたとき、それを解消する方法を人間は自然に行っているような気がします。

 しかし肩がこり続けているにもかかわらず、仕事が忙しくて気にする余裕がないとか、肩を揉んだりしている時間がないとなると、肩こりはどんどん悪化して、やがて修復出来ない限界点を越えます。

 私は物理が専門ですが、バネやゴムの弾性という話をするとき、ある程度までの力なら、復元力があるんだという話をします。

 実際バネばかり等で実演すれば一目瞭然で、200gまでと書かれているバネばかりに150gのおもりを吊した後、おもりをはずせばバネは元に戻ります。

 ところが200gまで書かれているバネばかりに1kgのおもりを吊すとどうなるか。もちろんバネは伸びていきますが、今度はおもりをはずしてもバネは元に戻りません。これを弾性限界を超えた状態と言いますが、人間の体の調節機能も同じようなものだと思っています。

 自律神経の協調により、人間は微妙なバランスの元で日々の生活を送っていますが、特定の大きな歪みが継続して生じると、やがてその調節機能を逸脱することになります。これがストレスと言われているものだと思います。

 そこで一般人はストレス解消と称して、気分転換のために旅行に出かけたり、美味しいものを食べたり、睡眠時間を充分に確保したり、運動で汗を流したり、音楽を聴いたりするわけです。

 というわけで、ここで「音楽療法」との関連が出てくるわけですが、音楽に体をリラックスさせる効果があるのは、私自身が音楽好きなので実感として分かります。

 ではどんな音楽がよいのかと言うことですが、冒頭で書いたように、ストレスにより体のどこかが物理的または精神的にゆがんでいる状態ですから、肩こりなら筋肉をほぐしたいという欲求の元に手段を講じるわけですから、音楽の場合も聴きたい音楽を選べばいいという単純な結論になります。

 つまり聴きたい音楽を聴くことが、一番効果を発揮すると言うことです。世に言う所のヒーリング音楽を聴けば体に良いのではなく、その時の精神状態が欲している音楽を聴くことが体に良いと言うことです。

 ただ日頃から好きな音楽やジャンルがあって、それらを聞きつけている人は選択の幅も広く、聴きたい音楽はこれだということがすぐに分かるかもしれませんが、それまであまり音楽に興味がなかった人は、「そう言われてもなあ」と感じるかもしれません。

 しかし現代生活の中には音楽は満ちあふれていますから、その中からちょっとでも心に残っていて聴いてみたい曲があれば、その曲が一番ヒーリング効果が高いといえそうです。

 ちなみに「瞑想」のページにも書きましたが、瞑想をする際にも、好きな音楽を聴くとその効果はさらに高まるようです。また、音楽ではなく自然の音(波、滝、風、鳥の鳴き声等)もある意味では音楽の一種と言えます。

 本当かどうかは分かりませんがチベットの高僧が、誰も足を踏み入れないような山の中で自然に溶け込んで瞑想を行うというイメージが私には浮かんできますが、これもある意味音楽療法の一つかなと思えます。


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