オプジーボの作用機序と副作用

2016.8.22

 オプジーボについていろいろ調べている過程で、前ページで私は分かり易いようにカモフラージュと書きましたが、正確には少しニュアンスが違うようです。

 どうやら腫瘍細胞からは免疫細胞の機能を弱める物質が分泌されている、ということです。

 つまり正確には自身の姿を変化させるカモフラージュではなく、探知細胞や免疫細胞そのものの機能を弱める若しくは免疫細胞そのものを駆逐するような作用を持つ物質を放出することによって、自身のさらなる増殖を可能にするという事です。

 そこでこの免疫細胞を弱める分泌物を中和若しくは無効にする薬剤があれば、免疫細胞は元の活性を取り戻し、本来の免疫活動を再開するという発想です。

 この薬剤の利点は、自分が本来所持している免疫細胞が復活活性化するわけですから、自身の正常細胞は本来傷つけないということになります。

 つまりリツキサンが腫瘍細胞を分子レベルで見分けてその表面に結合するように、免疫細胞が腫瘍細胞だけを攻撃できるという理想的な闘いになります。

 というわけで、従来の腫瘍切除、抗がん剤治療、放射線療法に比べると、正常細胞が生き残る確率が高くなり、患者さんのQOLも維持できるという事になります。

 早い話、画期的な薬剤であるという事になるわけですが、残念ながら現時点では副作用がいくつか報告されています。

 しかしそれらが厳密な意味で副作用と言えるのかどうかは、私からするとちょっと言葉の定義が違うのではという印象を持っています。

 というのも激しい副作用が生じたというニュースの多くは、このオプジーボと従来の免疫療法を同時併用で行ったために、免疫細胞が活躍しすぎて正常細胞を傷つけてしまったというように感じられるからです。

 つまりメーカーが各種の実験、臨床を通して行った療法から逸脱して、より強い作用を求めた結果による副作用だと思われるからです。

 ただこの副作用については、重要なことを示唆しているような気もします。それは用法、用量を守ったとしても、時にはそれが正常細胞を傷つけることがあるということで、これは従来の抗がん剤と同じニュアンスです。

 という事は、この薬剤の使用にあたっては、自分の免疫細胞が今どのくらい疲弊しているかという正しい認識、評価が必要で、その疲弊した分を回復させるだけの分量を投与する必要があるという事だと思います。

 ではその正しい分量とはどのくらいか、という事になるわけですが、これは私は医療関係者ではないので分かりません。

 ただメーカーが推奨している量以上を投与し、「一気にやっつけましょう」なんて言う医師がいたら、「これはちょっと危ないぞ」と考えたほうが良いような気もします。

 いくら良い薬であっても、その量が過ぎれば、それはたとえ市販薬の風邪薬や胃腸薬、頭痛薬であっても、作用はより激しくなり、余計な副作用が出るのは当たり前です。

 そういったことすべてを勘案して治療するのがプロの医師だと思いますが、免疫療法と組み合わせて激しい副作用、なんていうニュースを聞くと、そんないい加減な治療を行っているのかと不安になります。


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