告知 その2


 私や妹さんからの質問に丁寧に答えながら、正直かつ熱心にすべてを説明してくれたが、病状が想像以上に悪いことが分かり、目の前はすでに真っ暗だ。

 「もう駄目なんですか」という言葉が何回も口から出掛かるが、それを言ってしまってはますます駄目になりそうで、恐くて言えない。

 また転院先がどこになるのか見当もつかない。病院の場所によっては見舞いにもなかなか行く事が出来ないだろう。次から次へと不安が頭をもたげる。

 「原因は不明です」と言われているにもかかわらず、つい「何がいけなくてこんな病気になってしまったんですか」と質問してしまう。

 そのたびに主治医も辛そうに、「現代科学ではまだ原因は分かっていません」と繰り返すのみであった。

 もうすでに病気になってしまったのであるから、今更原因を云々してもしょうがないのだが、原因を取り除けば病気は良くなる、と考えるのが人情だ。

 しかし相手の主治医も内科が専門であって、この病気の本来の血液腫瘍科とは畑違いであり、細かい説明は出来ないようだった。

 最後に、Yへの告知は明日夕方四時に行うことを決め、話を終えた。先行きへの不安感に胸が押しつぶされる思いだ。

 妹さんもかなりショックを受けている。「Yへの告知の方法も含めて前向きに考えていきましょう」と激励するが、そう言う私自身も辛い。「仕事を続けられるだろうか。看護のために退職せざるを得ないのでは」と本気で悩み始めた。

 しかし一方で、入院費や療養費が気になる。働かなければ支払が出来ない。こんなときのために医療保険があるだろう、と言われそうだが、普段から元気いっぱいの人間に、そうそう多額の保険をかけはしない。


トップぺージに戻る  第1章 発病から入院までに戻る 私の体調へ