私の体調

 16日(土)。入院8日目。

 どたばたしているうちに1週間が過ぎた。外は青空が広がり良い天気だ。

 春先から日課になっている早朝散歩に出かけるが、血圧が高いように感じ、加えてなぜかYと同じように喉が渇く。さらに注意深く自分自身の体調を観察すると、右脇の下が引きつるような気さえしてくる。

 歩きながら気になってしょうがない。まるでYの症状が乗り移ったかのようだ。

 頭では、「そんなことはあり得ない。これは精神的なものだ」と分かっているつもりだ。しかしあまりに嫌な気分だったので、かかりつけの診療所に行き検査をして貰う事にした。

 心労のあまり家族が倒れる、という話を聞いたりするが、確かにそのようなことが起こりえるだろうな、と改めて感じた。人間勝手なもので、身内にこのようなことが起こらない限り、なかなか実感とならない。

 行きつけの診療所で血圧測定。いつものように若干高目だが、極端に高いわけではない。それでも小心者で疑り深く、どちらかといえば几帳面で後ろ向き指向の強い私は、採血と尿検査をお願いした。

 診療所の医師に、「悪性リンパ腫はうつりませんよ」と苦笑いされたが、そんなことは構っていられない。私まで倒れたら、息子の世話は誰がするのだ、という強い懸念がある。

 ついでにYの病状について報告し、転院先についていくつかの病院名を教えてもらった。この中にYの主治医が薦めてくれた大学病院も含まれていた。

 自分自身の医者通いを終え、告知を聞くためYの病室へ。

 咳は収まってきたが熱は三八度を超えている。下がるかと思えば上がり、これは大変と心配していると下がってくる。熱の上がり下がりで、私の気分も嵐の中の小舟のように翻弄されている。


トップぺージに戻る  第1章 発病から入院までに戻る 本人への告知へ