泥のようにだるい 

 2月10日(火)。朝方はよかったが、昼前に再び40度になり、相変わらず高熱が続いている。しかし夕方から解熱剤の効果が現れたのか36度代。

 一方カタボンという薬剤がはじめて使用された。インターネットで調べてみると、血圧の昇圧剤で、しかも急性の循環不全を改善する薬と書いてあり、これはいよいよ心臓に影響が出たのかと心配になる。

 熱が下がったのも実は心臓が弱ったためではないかと勘ぐる。医師の話では、血圧が低いと尿の出が悪くなるので、この薬を使ったということだが、かなり強い薬のようなので不安の種が増えた。

 しかし確かに血圧が低い。拡張期(下の血圧)が五〇を切っている。高血圧の私から見ると、今にも心臓が止まってしまいそうな不安を覚える。

 今週末にイダマイシンの副作用効果が切れるはず。そうしたら少しは改善するだろうか。祈るような気持ちだ。夕方からサクシゾン効果で36度代。体温の変動幅も大きい。

 抗生剤も変更になった。主治医もかなり神経を使って、栄養剤や抗生剤の内容を変更してくれている。一方体重がわずかながら増加。栄養剤が効いているのか消化が悪いのか、尿の出が悪いのか。

 主治医からは尿の出が悪いのでカタボンを使用したという説明があった。つまり腎臓の働きも落ちて来たということだ。

 11日(水)。病室へ行く直前に主治医を見かけたので状況を聞く。CRPが一昨日の21.88から18.91と若干低下。しかしこれまでが高すぎたので、正常値には程遠い。白血球は回復気味。全体としては回復傾向ということらしい。

 病室へ。熱がようやく下がり気味になってきたので、少し元気になったように見える。しかし、Yには言わなかったが顔色が悪い。

 熱が下がったこと、CRPが下がったことを強調して、全体的には回復傾向で、今週末に副作用が抜けるはずと伝えた。しかし「本当にそうなのだろうか」という疑問と不安が心の中で渦巻いている。

 12日(木)。朝は37度。サクシゾン効果で下がっている。昼からは上がってくるだろう。咳が少し増えて痰も出るようになった。回復傾向か?と思った矢先に39.7度が出た。

 カロナールはほとんど効かない。サクシゾンでようやく下がる。メールに「泥のようにだるい」というコメントがあり、「体全体が溶けてなくなるような、だるさを感じているのだろうな」と思い、何もしてあげられないもどかしさを痛切に感じた。

 しかし愚痴っぽいメールはその一言だけ。すさまじい精神力だ。下痢のため1時間に1回のトイレが辛そうだ。

 13日(金)。事態がかなり厳しい状態であることを妹さんに連絡。この日は私がどうしてもはずせない仕事があったので、代わりに病院に行ってもらった。

 夜、Yからのメール。昼間はずっと39度越え。血小板輸血のためのサクシゾンで夕方ようやく平熱に。咳は出るが喉は赤くない。

 つまり通常の風邪ではなく、肺炎が疑われるということ。わずかな期待をこめて、気管支炎ではというコメントを送った。白血球550、CRP11.67に下降。予断は許さないが、峠は越えつつあるように見えた。


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