最近の心境(2010.2.19)

記憶は消えない

 私も妻も旅行が好きだったため、結婚後はずいぶん二人であちこち行きました。代表的な場所が北海道やハワイですが、それ以外にも日帰りや1泊で関東や新潟方面に出かけました。

 当時の旅行の様子はすべて写真が残っています。その後子供が生まれ、2歳ぐらいまでは遠方への旅行は控えていましたが、3歳を過ぎてからは再び日本のあちこちに家族連れで出かけるようになりました。

 当時行った場所の思い出を時折息子にも聞いてみたりしますが、あまりにも多くの場所に行ったため、すべてごちゃ混ぜになってしまっているようです。しかし今家族で出かけたときは、そういえばここには来たことがあるね、なんて言うこともあります。

 地名等は忘れているようですが、風景は記憶に残っているようです。特によく出かけたのは海外はハワイ、国内では横浜と伊豆、新潟方面です。

 ハワイについては、闘病記の中にも書きましたが、いまや私自身のライフワークになりつつあります。横浜は中華街で食事、それ以外は買い物や海で遊ぶというパターンです。

 伊豆や新潟は、私自身は堤防釣りや投げ釣りをするため、妻はおいしいものを食べ、日常生活の家事から解放されるため。息子はもちろん目一杯遊ぶのが目的でした。

 そして現在、旅行への欲求は相変わらず強く、たまに息子と二人で横浜や伊豆に出かけています。しかし出かけるための車に乗った瞬間、「そう言えば、あのときも息子は隣に乗り、妻は後ろに乗ってあれやこれや言いながら旅行をしたなあ」という思い出が押し寄せてきます。

 もちろん息子の前ではそんな感傷的なことは言いませんが、なんとも言いようのない寂しさを感じてしまいます。そして行った先でも、一緒にいれば楽しかっただろうになあ、とついつい振り返っている自分を発見します。

 大事な人を亡くすと心にぽっかり穴があいたような気持ちになるといいますが、まったくその通りです。

 仕事や好きなことに夢中になっているときは何も感じませんが、ちょっとしたきっかけで思い出がよみがえり、「ああ、あのときはこんなこと言っていたなあ」と思い出してしまいます。


ハワイで散骨

 月日が経ち、その思い出す回数は幸か不幸か徐々に減っているような気もしますが、ふっと何かの拍子に思い出すことがあります。なんとも辛い感触です。

 特にハワイは結婚当初からほぼ毎年通い続けた場所で、出来れば老後は二人でロングスティを楽しみたいと思っていました。退職後、妻はフラを踊り、私はウクレレを練習する、というようなささやかな願いも持っていました。

 今はその願いもかなわないことになりましたが、ハワイへの思いはやはり強く、昨年(2009年)の夏は息子と二人でハワイに行き、あらかじめ分骨をしてあった遺灰を、ワイキキ沖の海に撒いてきました。いわゆる散骨です。

 真っ青な空と透明度の高い海に、粉末状にした遺灰を手でつかみ投げ入れると、その白い遺灰が海の中に落ちていくのがはっきり見えました。

 その様子を見ながら、これで妻は永遠にハワイ沖に滞在できることになった。だとすれば私は都合のつく限りハワイに来て、墓参り?を兼ねたハワイ滞在を楽しむことにしようと、気持ちが変化しています。

 ハワイ滞在の詳細は、リンク画面より「ハワイ旅行あれこれ」に飛ぶことによって見ることが出来ます。


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