抗がん剤治療の効果

 入院当初、主治医は悪性リンパ腫を駆逐するための方法として、以下のような説明を行ってくれました。

「抗がん剤の使い方ですが、最初にリンパ腫細胞をガツンとたたいて、その後再発防止をしていくのが理想的な対処の仕方です」という説明をしてくれました。

 当時は、「まあそんなもんかな」という印象でしたが、今になってみると、この言葉は「悪性リンパ腫」を抗がん剤で治療する場合、大きな意味を持っているんだなということが分かってきました。

 理由ですが、私の考えでは以下のようにまとめることが出来ると思っています。

1. 悪性リンパ腫の治療は、先ずとにかく今現在悪性リンパ腫細胞となっている細胞を徹底的に壊すことが第一目的。つまり体内のリンパ腫細胞をリセットすると言うことなのかなと思っています

2. 抗がん剤は、体内の細胞が分列する過程の様々な時期に働きかけて、その分裂を阻止する

3. その際残念ながら、抗がん剤は、リンパ腫細胞と正常なリンパ腫細胞や血球を区別することが出来ない(だから様々な副作用が生じる)

4. つまり血管内のすべての血球に抗がん剤は働きかけ、それらの血球をどんどん破壊する

5. 血球細胞にとってみると、初めて遭遇する抗がん剤と言う薬物は、自身の細胞分裂を脅かすので、1回目はほとんどの細胞が駆逐される(つまり効果が大きい)

6. しかしながら、そういった薬剤の影響を逃れたり、もともとその薬剤に耐性を持つようなリンパ腫細胞があった場合、その細胞は生き残り再び増殖を始める

7. これらの耐性を持った細胞に対して2回目の抗がん剤は、同じような作用しかもたらさなさいので、1回目の影響をたまたま逃れた細胞には効力を発するが、最初から耐性があった細胞は依然として残る

8. その結果、第1回目の治療は、一般的には非常に大きな効果を発揮するが、2回目以降の効果はどんどん薄れる

9. 逆に言えば、1回目のクールで治療効果が現れなければ、2回目以降いくら回を重ねても、リンパ腫細胞は駆逐されない

10. 効果があったとしても、2回目以降はその効果はどんどん減少するので、クールを増やせば増やすほど、抗がん剤の副作用の効果が強く現れ、患者のQOLは低下する

11. 従ってどの程度繰り返すかという目安は、患者個々人によって異なるはずだが、病院側としては、クール数は標準治療として統計的に決まっているらしい 

12. いずれにしても、1回目の治療で効果が上がっていない状態で2回目を行っても意味が無い

13. その意味でも1回目の効果がどの程度あって、さらに副作用によって患者さんのQOLがどの程度低下するかを患者家族も慎重に見極めて第二クールに望む必要がある

 と言うようなことを今は考えています。従って、第一クールで劇的な効果が上がった場合は、がんばって第二クールに進んだほうが、治療効果が高いといえるのかもしれません。


トップぺージに戻る 治療中に気がついたこと 輸血について