副作用が進行するが、体調は良好

 7月15日(日)、転院28日目。台風が来ているが、その間隙をついて昼過ぎ病室へ。

 熱は平熱。体重が少しずつ減っている。新たな副作用は、予想に反して今のところまったく出てない。いまだに咳止めを服用している。

 入院後一ヶ月近くが経過しているが、まだ咳止めが切れてくると咳が出る。それ以外は普段のYと変わらなくなってきた。ちょっと風邪をひいて、咳が出ている状態と同じだ。

 治療を行う前に、さんざん感染症や突発的な症状変化への対応について説明を受けていたので、少しばかり拍子抜けだが、当然ながら何もないのが一番だ。

 しかし脱毛は激しくなってきた。いったんショートにして洗髪する意向だが、長くて美しい髪だっただけに残念だ。しかし治療が終われば再生するということなので、今は我慢するしかない。

 16日(月)、転院29日目。午前中柏崎で震度6強の地震。入院中の病院は免震構造になっているが、相当揺れたらしい。

 朝方若干微熱。血圧は正常。体重がまた減った。病気の影響なのか、抗がん剤の影響なのか、それとも病院食がおいしく感じられないので、たくさん食べていないためか、理由は判然としない。

 17日(火)。転院30日目となり、ちょうど一ヶ月が経過した。朝微熱。しばらくしたら平熱へ。血圧正常。主治医が来て、

 「肺の影が薄くなりました。白血球も少しずつ増えているので、予定通りか一日遅れでリツキサン治療を始めます。ただしアレルギー反応が出る人もいます」と予告をしてくれる。咳が減ってきたという実感があるので、主治医の言葉に納得できる。

 点滴はいつもの栄養剤にノイトロジン、ブレドニン。朝食、昼食を普通に食べられるようになった。症状が安定しているので、軽く肩をマッサージしてちょっと早めに退室。

 最初の病院に入院した頃や転院した頃に比べると、別人のように元気になった。骨髄抑制が効いているため、病室外へ出歩けないのが残念だ。

 しかし病室ではごく普通に会話を楽しめる。病状について気にしないでいられるのは、患者にとっても家族にとっても大きな喜びだ。

 18日(水)。転院31日目。朝微熱。しばらくすると下がる。起き掛けは微熱になる傾向がある。寝ているうちに汗をかき、朝は水分が不足しているからかもしれない。主治医が来て、酸素吸入の管をはずしてくれた。快方に向かう手ごたえを感じる。

 自力で酸素97%。まったく問題無い。救急車で搬送されてきた、転院当初の悲惨な状況からは想像も出来ないほど回復している。奇跡的な回復とも思える。

 転院当初にYを診察した主治医の判断は、手をこまねいていればすぐにも命が危なくなるし、例え治療が出来ても回復するかどうか、言葉には出さなかったが先行きは暗い、と判断していたようだ。

 病気の勢いが強かったため強い治療を行わざるを得ず、それによって生じる感染症や治療上の危険も当然通常の治療より激しくなることが予想されたので、副作用について繰り返し説明してくれていたのだろう。


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