再発の兆し(1)

 3月21日(月)。退院144日目。

 19日(土)に行ったPET検査の結果を聞きに出かけた。主治医の顔つきがいまいちだ。微妙な表情の変化に患者は敏感である。なぜかこれまでの経過から説明が始まった。

 「昨年6〜10月にかけて化学療法を行い、現在経過観察中です。初期の症状は骨にリンパ腫細胞が存在し、高カルシウム症が主な症状でした」

 「さらに入院時のCT検査で背中側の肺に石灰化が見られ、肺尖部には帯状の陰影がありました。そこでPET検査を行ったところ、肺にリンパ腫細胞の集積が見られたことから、ここが病源と判断しました」

 私とYは、何をいまさら分かりきったことを繰り返しているのか、不安に思いながら聞き耳を立てる。

 「昨年10月末に一連の治療を終了し、11月16日に最後のリツキサンを投与しました。直後のPET検査では、肺の集積がなくなり、リンパ腫の病勢は抑えられたという判断をしました」

 そして本題。「ところが19日のPET検査の結果、再発の可能性が疑われるようになりました。根拠は両肺に集積の影が見られたことです」

 「もちろんリンパ腫ではなく、単なる細菌による肺炎の可能性もありますが、同時に乳腺にも集積があることが確認されました」

 「これらの原因として考えられることは、再発、乳がん、乳腺炎のいずれかですが、いずれの場所も最初から病変があった部位なので、再発の可能性がひじょうに高いと思われます」

 「その他の可能性としては、カビ、ウイルス、結核、肺がんが考えられますが、ガンの場合は肺と胸の両方には出てきません」

 「また免疫異常による間質性肺炎も考えられますが、そのときは息切れ等の症状が出ます。ブレオマイシンによる薬剤性肺障害も考えられます」

 「以上のどれに該当するかを確認するためには、肺と胸の検査が必要です。出来れば肺気管支鏡検査を実施してみたいと考えています」

 我々が気落ちしないように言葉に気をつけながら、考えられる限りの可能性をいろいろ丁寧に説明してくれたが、どうも話の流れをきちんと考えていくと、残念ながら再発の可能性が高いようである。


トップぺージに戻る  第6章 再発そして再入院へ 再発の兆し(2)