肺内視鏡検査

 4月1日(日)。退院155日目。

 肺内視鏡検査をするために1日だけ入院、2日退院。検査には約2時間必要なので、検査に向かうYを見送ってから、病院併設の喫茶店で、「苦しくないだろうか」と心配しながら時間つぶし。

 病室に戻ってしばらくすると、Yがストレッチャーにのせられて戻ってきた。検査が無事終わったことを確認できてほっとした。Yの表情にも安堵感が漂っていたが、さすがにしゃべるのはつらそうだった。

 14日(月)。退院168日目。検査結果の説明を聞きに病院へ出かけた。説明は主治医ではなく、内視鏡検査を専門とする内科の医師によって行われた。相変わらずY自身には病気の自覚症状はない。

 始めて接する医師なので、ちょっと緊張する。

 「肺を洗浄し、生検した結果ですが、炎症細胞は発見できず、通常細胞のみでした。培養した細胞についても、カビ、結核などは検出されず、リンパ腫の再発は確認できませんでした」

と我々にとってはひじょうにうれしい結果報告となったが、なぜか医師のほうは検出できることを期待していたらしく、いかにも残念そうに言うので、ちょっと不愉快だった。

 しかもダメ押しをするように、「画像を見る限り肺の石灰化を確認できる上、生検で病原部分を取れなかった可能性は残りますので、安心は出来ません」と、あくまで病変が存在していることを、分からせようとする口調だった。

 しかしそうなると、検出出来た場合はよしとして、出来なかった場合は常に「該当部位では検出できませんでしたが、他には存在しているかもしれません」という脅し文句のような説明になるわけで、どうも釈然としない。

 患者は苦しい思いをして検査をして、検出できなければ素直に喜びたいのに、実は他の場所には存在する可能性がありますと言われては、最初から検査する意味など無いに等しい。結局肺全部を取り出して検査をするしかないではないかと思えてしまう。

 最後に、「今後、影が増えてくるときは再検査の必要性があるかもしれません」と言われたが、前記の理由から、もう一度同じ検査を受けさせたいとは思わなかった。

 ただしYの場合は、内視鏡検査では特に病変は見つからなかったが、この後行われる乳腺の生検結果によっては再発が確定する場合もある。

 患者側からすると、まるで病人に仕立て上げられるかのような印象もあるが、病気が病気だけに医師側の立場に立てば、慎重に対処しているということなのかもしれない。

 なお医師たちが再発を強く疑っていた理由は、腫瘍マーカーの数値(TK活性、SIL―二Rという指標)の上昇が検出されたからである。

 しかし、この数値が上昇したからと言って、すぐに悪性リンパ腫が悪化したとも言えないらしい。そのためこれまで我々にもこの数値は知らされてこなかった。


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