治療開始前日

 5月23日(金)、再発入院8日目。昼直前に病院へ行き、その後Yと一緒に外出。

 病院近くにある雰囲気の良いカフェで昼食。Yはいつもの通り変わりない。歩行器の使用を除けば、ごく普通の状態なので、とても重病人には見えない。このまますんなり治療がうまく行ってくれればいいことを願うだけである。

 病院に戻って、病院併設のコンピュータールームでインターネットの使い方を教える。病状等について患者や家族が自由に検索できるようになっている。参考図書もいろいろ置いてあり、何冊か読んでみたが、ひじょうに参考になる。

 25日(日)は、私の母親や妹、息子とともに病院へ。母親たちは併設の喫茶店で待機。

 実はこの日病院の病室の配置換えがあり、大部屋から特殊な個室に引越しになったのだ。これはYの病状とはまったく関係ない。移動先の病室は、本来骨髄抑制が強く出る白血病の治療のため完全無菌になる部屋である。

 始めて見たが、四畳半ぐらいの部屋にベッドや冷蔵庫、洗面、便器等がコンパクトにまとめられている。いろいろものがあるのでかなり狭い印象だが、空気はきれいで騒音も少なく、ゆっくり寝られそうだ。

 空気は無菌のものが循環するようになっていて、面会者用の大きな窓があったり、患者に触れないで治療を行うためのビニールがあったりで、かなりものめずらしい。

 トイレは外から丸見えなので落ちつかない印象だが、電動のシャッターを下ろすことによってプライバシーが保たれる。

 ここに火曜ぐらいまで滞在し、その後は再び大部屋に移動する。それなら最初から火曜に移動すれば良いのになあと考えてしまうが、これも他の入院患者の都合なのだろう。

 本人はいたって元気だ。血液検査結果も、血球の数が少し減少気味なのを除いて、特に問題ない。

 ただし、ここのところちょっと歩いたり動いたりするだけで「暑い、暑い」と言うのが気になる。発汗作用がうまく機能していないのか、やはり血球数減少の影響か、心臓その他の臓器の機能が衰えているのか、詳細は不明だが気になるところだ。

 特に血球数の減少は、リンパ腫細胞が再び脊髄に入り込み、造血機能を阻害しているのではないかと気にしてしまう。

 荷物を移動してから喫茶店に行き母親たちと会う。元気な姿なので母親も安心したと思う。ちょっとした交流が患者や家族双方の精神的負担を和らげる。その意味でも、出来る限り仕事の都合をつけて、病院に行かなくてはいけないなと思う。


トップぺージに戻る  第7章 再発入院、そしてハワイへ