第2クールへ

 6月12日(木)。再発入院28日目。

 昨日の血液検査で白血球が600を越えたので、今日は1000ぐらいいっているかもしれない。頭痛をのぞいて体調も良さそうだ。頭痛はほぼ1週間、特定部分がずきずきしたと言っている。

 インターネットで調べてみると、抗がん剤、特にキロサイドあたりが怪しいことが分かった。一週間程度激しい頭痛が続いた、という体験記の記述が見られるので、ほぼこの判断に間違いないだろう。頭痛のことを主治医に伝えていたので、念のためCTをとったが、異常なし。

 13日(金)。梅雨空の合間にきれいな青空が広がった。朝から気持ちがよく、和む。昼頃メールがきた。白血球は正常値まで回復し、CRPも8.6まで下がった。頭痛もだいぶ治まった。病室を出ても良いという許可が出たので、ようやく第1クールが終了したという実感を持った。

 次の治療は月曜日の検査結果を見てから決めるようなので、どんなに早くても火曜日以降となった。予定よりは1日遅れである。

 14日(土)。今日は1時に胸のCT。2時に母親たちと病院へ。2階に下りても良いという許可が出ていたので、喫茶店でコーヒーブレイク。

 金曜日の血液検査結果は白血球も増え、ずいぶん良くなった。しかし、LDHが少し高くなったのと血小板が少ないことがちょっと気になる。今日は血小板の輸血も行われる。

 そんな数値の上がり下がりを気にしているのは私だけで、Yは久しぶりのおしゃべりでうれしそうだ。母親も一緒になっておしゃべりを楽しんでいる。

 病室に戻って、ノイトロジンと血小板の輸血。帰りがけに主治医と会えたので状況を聞く。

 「骨髄抑制による発熱等の症状はほぼなくなりました。次の治療は月曜の血液検査結果をみて時期を決める予定です」

 「胸のCTでは、カルシウムの沈着は改善が見られませんでしたが、悪くなっているわけでもありません。あれだけ影が見えるのに、呼吸機能がほとんど損なわれていないのは、本当に不思議な現象です」

 「肺そのものの弾性も失われているはずですが、呼吸困難等の症状はほとんど無いので、これまた悩みの種になっています。肺の専門家にも相談していますが、良く分かっていません」

 人間の体というものは、まだまだよく分からない部分が多いようだ。いずれにしてもY本人はいたって元気なのがありがたい。

 (主治医は正直に伝えてくれたのだと思うが、今改めて読み返してみると、なんで分からないのにこの後も確信を持って強い抗がん剤治療が出来るのか不思議だと感じた>

 昨年の入院の発端はカルシウム異常という全身症状であって、リンパ節がはれたわけではない。その後の経過を見ても、Yの症例はかなり特殊な事例なのかもしれない。

 入院時は肺の影とリンパ腫の勢いがほぼ相関関係にあったが、今回はそれほど関係があるように見えない。ただリンパ腫細胞が存在することは間違いない。

 治療の成果はPETで判断するしかないが、現在腎臓の調子が落ちているので、放射性物質を入れることが出来ず検査は行えない。

 本人への結果の伝え方が難しい。がっかりしてしまうかもしれない。よくも無く悪くも無く、病気の勢いを食い止めている、と伝えればいいのだろうか。

 肺の影については、昨年の入院時より悩まされてきた問題で、ここでまた医師がクローズアップして考え始めたといういことは、何か意味があるのかと、ちょっとだけ猜疑心が芽生える。


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