夕食の準備をしながらテレビを見ていたら、TBSが原子力発電所の温排水の影響について特番をやっていました。折しも政府は原発を再び活用しようと思っているようですから、ちょっと気になるなと思って見ていました。
内容ですが、原発から出る温排水は、取水口から取り込んだ通常の海水より温度が7度前後高くなるようです。その結果起きたことは、排水口近くに生息していた昔からの海藻の絶滅である、ということです。
一方、海藻は絶滅したものの、暖かい水温という環境に適した、南方の魚が増えたという現象もあるようで、これだけだと、どちらがよいのかというのは俄に判断できないなと感じました。
ところが東日本大震災による福島第一原発事故以来、日本中のほとんどの原発が停止して数年が過ぎているため、海水温がさがり、海の中では再び海藻が繁茂し、熱帯系の魚が死滅、昔の海が戻ってきたという内容です。
報道の趣旨は温排水の影響がいかに大きいか、そしてその効果がいかに劇的であるかということに焦点をあてているようで、だから原発は危険で不用と言っているわけではなさそうです。
ただ私は、ほんの数度の海水温の差が、海中の環境に劇的な変化を与えるという結論を聞いて、では今実際に陸地で起きている温暖化現象の結末はどうなるんだろう?と不安になりました。
温暖化温暖化と叫ばれ、二酸化炭素削減交渉も世界的規模で行われていますが、現状としては二酸化炭素濃度は増え続け、世界の平均気温もわずかですが上昇を続けているようです。
今のところその影響は、主に極端な気象現象に多く表れていますが、海の中の生態系を破壊したように、地上でもこれから生態系の破壊頻度はさらに高まるのかなと思います。
さらに、平均気温の上昇は、それまで涼しい環境で暮らしていた人間の生理にも、少なからず影響を与えているような気もします。
現在は、人間の適応力が勝っているため、それほど顕著にはなっていないのかもしれませんが、そのうちその適応力や科学力では対抗できないような、大きな気候変動が押し寄せたり、人間の体温そのものに影響を及ぼしたりする日が来るのではないかとすら思えます。
原発の場合は意図的に温排水を流すことにより海中の生態系がゆがんでいるわけですが、二酸化炭素が原因だと断定はできませんが、気温の上昇が我々陸上動植物の生態系に与える影響は、今後ますます大きくなるような気がします。
しかしそのような変化が起きることがわかっていても、二酸化炭素の排出や原発再稼働による温排水を止めることは、現実の政治の流れを見ていても、至難の技であると言うことも事実です。
さてどうなるのか?この冬の大雪のことも思い出しましたが、ともかく気候のぶれは年々大きくなっていることだけは間違いないように思えます。