血圧の原理と低血圧(2015.11.25)
心臓が収縮して血液を血管中にどっと送り出すとき大きな圧力がかかります。まさに心臓が動く「ドクン」という音がそれに該当するのではと私は思っています。
このときこの圧力を受けた動脈の内壁は一瞬だと思いますが拡張して、血液は圧力が少ない方向、すなわち毛細血管方向に進むことになります。
ひじの内側では、動脈の一部が皮膚表面に近い部分を流れているため、心臓で「ドクン」と送り出された血液の波が、このあたりでは「トクン、トクン」と軽い音になります。
この音を数えれば脈拍になるわけですが、この脈に注目したのがロシアの軍医さんである「ニコライ・コロトコフ」という方だそうで、この方が血圧を客観的に測定する方法を発見しました。ちなみに、先ほどの脈拍音は、この方の名前にちなんで「コロトコフ音」と呼ぶそうです。
初期の血圧計は、今でも時折使うお医者さんもいるようですが、mmHgという血圧の単位そのものから分かるように水銀を使っていました。
150mmHgというのは、文字通りこの水銀を温度計のように縦の細い円柱に封じ込め、この長さを測ることによって血圧を測定したわけです。ということは上記の150mmHgというのは、初期の血圧計でおよそ150mm=15cmの高さに相当するということになります。
ただ水銀そのものは人体に有害な金属であり、またコロトコフ音を目安にして血圧を測定した場合、測定者の技量で血圧の値が変動する場合があり、今はほとんどが電子血圧計になっています。
では電子血圧計の原理は何かといえば、ひじの部分に圧力を加えていって、脈が止まることを確認したののち、少しずつ圧力を弱めていくと、徐々に脈拍が戻ってきて、さらに圧力が弱くなると再び脈を感知しなくなるので、この間の脈の強さの波形を分析して最高血圧と最低血圧を計算で求めているとのことです。
つまりトクンと血液が押し出される流れに対して、まわりからどのくらいの圧力を加えたらその流れを止めることができるか、という数値が最高血圧であるといえます。
一方最低血圧は、心臓が弛緩して、新たな新鮮な血液を心臓内にため込んでいる時なので、血液への圧力はほとんどなくなります。
だとすれば、この時は血圧が0mmHgになってもよさそうなものですが、心臓近辺で0mmHgの血圧になるということは、心臓より高い位置にある脳等の血液がどんどん下降していくことになり、要するに心臓より上の部分の血が一斉に下がってしまうことになります。
それを維持するための最低血圧と考えればよいのかなと思いますが、低血圧で悩んでいる人は100/50なんていう人がいますから、それ以上下がると貧血やめまい等がひどくなるのかもしれません。