アトピーの痒み

強烈な痒み
 
 アトピー性皮膚炎の痒みは強烈です。最初はむずがゆい程度ですが、いったん掻き始めると、痒みがさらなる痒みを呼び、その連鎖はきりがありません

 理性では、掻いてしまったらまた皮膚表面が荒れて、さらに状態は悪くなるということは分かっています。しかし痒みを我慢するのはとんでもない努力がいります。

 左肘の内側が、最初はボワーッとかゆくなります。「あ〜また始まったか」と思います。しかし「このぐらいなら我慢できるカナ」と思っている内に、さらにじわ〜っときます。

 右手が知らず知らずのうちに左手に近づきます。あわてて意志の力で引き戻しますが、痒みはさらに倍増します。「もしちょっとでも掻けたら快感だろうなあ」と思います。実際掻いている最中はある意味恍惚感に浸れます。

 しかしその後、状態が悪化することは分かっているので、出来る限り我慢します。耐えきれなくなると、冷水をかけます。それでも駄目なときは、冷蔵庫から氷を取り出し、その氷を患部にのせ冷やします

 これで少しは痒みが収まりますが、ず〜っと氷を乗せておく訳にもいかないので取り去ります。するとすぐにじわ〜っと痒みが増してきます。「これはいかん。今日の痒みは強烈だ」と言うようなときは、皮膚を叩いたりします

 掻いてしまうと、皮膚表面がはがれ落ちますが、叩くだけなら皮膚もそれほど薄くなりません。これは叩いた事による痛みで掻痒感を打ち消そうというものです。それでも駄目な場合は薬しかありません。

 しかし、これは昼間意識しているからこのように対処できるわけで、就寝中に痒くなることも多いのがアトピーの特徴です。その場合、痒みを我慢しようとすると、意志の力を必要としますので寝不足になります。

 「もういいや。痒いし眠いから掻いちゃえ」と判断すると、翌日が悲惨です。もちろん皮膚は荒れ放題で、困るのは布団やシーツ、パジャマに血の跡がやたらついてしまうことです。

 掻く、水で冷やす、水で洗う、石鹸で洗う、つねる、天花粉を使う、ムヒを塗る、タオルでこする、氷を患部に乗せる等々、いろいろなことをやりましたが、症状は改善しません。

 当然といえば当然ですが、これらはすべて痒みに対する対処療法であり、根本的な解決は何もしていないからです。

ステロイド剤の使用 

 もちろん医者からもらったステロイドホルモン剤の塗り薬はよく効きました。今では名前も覚えていませんが、塗ると翌日には痒みが収まっていて、皮膚の発赤等も軽減しました。

 ある意味画期的な薬でした。塗り薬であるにも拘わらず、一晩寝ておきれば痒みもとまり症状はかなり改善しました。

 しかし連続して使用していると皮膚がてかてかしてきます。良いことなのか悪いことなのか、当時は特に気にすることもなくホルモン剤を塗っていました。

 ところが長期に渡って使用を続けると、塗った部分の皮膚がなんだかテカテカする上に水分もますます失われ、テカテカ、カサカサ感がするようになりました。

 調子の良いときはそれでも良いのですが、調子が悪くなり始めると、このカサカサ部分がどんどん痒くなってきます。ホルモン剤使用の悪い噂も聞こえてきて、なるべくなら使用したくないなと思うようになりました。

 ではどうしたらよいのか。ともかく掻かなければ皮膚はそれほどひどい状態にはなりません。ということは掻かなくても良いような処置を講ずれば、アトピーも軽快するのではないかと考えました。

 この辺りから、薬ではなく、なんとか自力で出来ることをやってみようと意識が変わり始めました。大学を卒業し、就職、そして5年ほど経過し、ストレスがたまり始めたころです。

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