人間の体の60%は水です。水は水素原子二つと酸素原子一つが結合して分子になったものです。この分子の形は大きな酸素原子の周りに二つの水素分子が耳のようにくっついています。
ところがこの耳の形になった水素は、酸素分子の両端にくっついているわけではなく、中心の角度にして100度くらいの広がりでくっついています。従って水分子の形はパンダの大きな顔に耳が上の方にくっついたような形をしています。
実はこの形こそが水のいろいろな性質を決めています。我々は普段何気なく液体としての水を飲んでいますが、たまたま生活できる温度の中で水は氷になったり水蒸気になったりします。
余談ですが、広い宇宙の中で、恒星の周りに惑星が誕生し、その惑星の位置がたまたま都合良く、惑星の表面温度が水が氷、水、水蒸気という変化を起こす枠内で収まったというのは奇跡的な出来事だと思います。
ましてやたまたま出来た水が、宇宙空間に飛び散ることもなく、海が出来てそこから生命が誕生したなんて、本当に不思議です。
さて、その不思議な水ですが、水分子がブーメランのような恰好をしているため、水を冷やすと本来ならガチガチに分子同士がかたまるはずなのに、間に隙間が出来てしまい、氷は水よりも体積が大きくなります。
その結果、氷は水よりも軽くなり(比重が小さくなり)水の中では浮いてしまいます。コップの中に水と氷を入れると氷が浮くというのは、あらためて考えると実に不思議な現象です。
この性質により、魚のような水生生物は外気温が0度以下になって川や湖の表面が凍り付いても、氷は水面から張るので、水底でじっと我慢していればなんとか生き延びることが出来ます。
もし水が水底から凍ってしまったら、水生生物は寒くなるたびに水面近くに追いやられ、鳥の餌になったり、場合によっては水面で凍り付いて死んでしまうことになります。
我々人類の祖先は水から進化したと言われています。祖先が水の中で寒いときにも生き残ることが出来たのは、氷が水より軽いからだと言えます。
また人間の血液の組成は海水の組成にひじょうによく似ています。これも水から進化した証拠だと言われていますが、良い水を飲むということがなぜ大事なのかという理由の一つになると思えます。