リツキサンは、悪性リンパ腫、特にB細胞関連のリンパ腫には効き目があるようですが、我が家の連れは、入院時は体内にリンパ腫細胞が増殖し、それにより骨のカルシウムが血液中に溶け出し、急性腎炎のような症状を示していました。
そこで最初の治療は、先ず腎臓で起きている炎症を抑えるために大量のステロイドホルモン剤を投与しました。
これにより、悪化していた各種の血液検査結果の数値が少し回復。一方でリンパ腫細胞への抗がん剤治療が最初は出来なかったため、リンパ腫細胞はさらに増殖、という危険な状況だったようです。
それでも大量のステロイドホルモン剤が一定の効果を表し体力が若干回復したことがその後の治療の方針を決めるポイントになったようです。
つまり腎炎の症状が治まると共に、逆にリンパ腫細胞が増殖する兆候も見られたため、急遽通常量の半量でCHOP療法を行うということになりました。(通常量では体が持たないと言う病院側の判断だと思います)
このとき、同時にリツキサンも使用できないかと言う、我々家族側からの質問に対して主治医の答えが以下のようなものでした。
「リツキサンという新しい薬もありますが、今回は使用しません。理由は体調が完全でないためです。今の段階で使用すると、腎不全を起こす可能性があるだけでなく、場合によっては心不全を引き起こすかもしれません」
というもので、リツキサンという薬は、ネット等の情報では悪性リンパ腫に対して万能であるかのような記述も見られましたが、使い方によっては患者さんに大きな悪影響があるんだと言うことを知りました。
基本的には、このあとリツキサンを使用して治療も行いましたが、初回投与時は病院側もかなり神経質になっていましたので、結構面倒な薬なんだなと言う印象を持ちました。
特に初回投与時にさまざまな副作用が顕著に表れることが多いようで、それに対処するために体が弱っていてはいけないと言うことだと思います。
もう一点。この薬がうまく効果を表すと、腫瘍細胞がなだれをうって壊れることがあるようで、そうなると血液中にそうった細胞の残骸が多数放出され、それによって腎臓のろ過機能が脅かされることがあるようです。
それが主治医の「腎不全になるかも」、という言葉の理由だと私は解釈しています。
要するに効きすぎると体力の無い体では、それらの老廃物を体外に排出する余力が無いので、腎臓やその他の臓器に余計な負担がかかると言うことです。
と言うことは、矛盾するようですが、抗がん剤にしろリツキサンにしろ、こういった薬が効果を表すためには患者に体力がないといけないということになります。
従って、患者がこの病気と闘うためには、ともかく体力が必要だということになり、リンパ腫細胞が増殖し体力が削られている状況では、その闘いは最初から厳しいものにならざるを得ないと言うことだと思います。